好評の男一人泊まりシリーズ、「セントレジスホテル大阪」「ハイアット リージェンシー 那覇」「ニューオータニ東京 エグゼクティブハウス禅」「コンラッド大阪」と気紛れにアップして来たが、今年1つ目に挙げるのは、2016年秋に東山五条にオープンした「フォーシーズンズホテル京都(Four Seasons Hotel Kyoto)」にしよう。ちょうど一年ぶりの宿泊となる。
17世界文化遺産と2000の寺社仏閣がある歴史深い京都市、年々外国人観光客が増して人で溢れかえる。色んな意味で様変わりし日本人がゆっくり散策する風情は難しくなった。規制から誘致へ方針転換し今や高級ホテルの開業ラッシュ。これまで禁止だった住居専用地域に「超高級ホテル」を限定特例とし開業許可、加えて施設内は「伝統的かつ超近代的な京都発の伝統産業製品や素材を採用すること」も条件とした。

20190220fusimiina1

京都進出の外資系高級ホテルは「ザ・リッツ・カールトン京都(THE RITZ-CARLTON KYOTO)」「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都(Suiran A Luxury Collection Hotel Kyoto)」、そして今年いよいよ11月に開業するのが「アマン京都(AMAN KYOTO)」と「パークハイアット京都(Park Hyatt Kyoto)」。やはり長らく待った「京都にアマン来た!」と言った感じだ。
日本では東京・大手町タワー「アマン東京」と伊勢志摩「アマネム」に続く国内3軒目。京都洛北の鷹峯三山の麓に出来る。そう金閣寺が近い。敷地面積約24000m2に26室。昨年巨匠建築家ケリー・ヒル(Kerry Hill)は亡くなったが、彼のアーキテクツチームが手掛ける。壮大な自然と共存するアマンらしい、そして日本旅館風なモダンデザインで、アライバル棟・リビング棟・レストラン棟・スパ棟・4宿泊棟・ヴィラ2棟が点在する。

20190220foursea9

当然ながらオープンが楽しみだ。そして今回の宿泊した「フォーシーズンズホテル京都」は、ビル・ゲイツ氏がオーナーのフォーシーズンズ・ホテルズ(カナダ本拠)。日本国内でこの京都は3番目となり、近くに清水寺・京都国立博物館・三十三間堂などの観光スポットが建ち並ぶ好立地だ。地上4階・地下2階(敷地面積20433m2・延床面積34632m2)。
ホテル客室123室(うちスイートは13室)とレジデンス57室の計180室からなる。ちなみにフォーシーズンズは今後、沖縄県・恩納村(ベルジャヤ・コーポレーションが開発)と東京・大手町(三井不動産が開発)にもホテル開業予定。沖縄では本島西岸に総面積は40万km2超で、ホテル客室とレジデンスをそれぞれ120室、ヴィラ40棟の建設すると言うから壮大だ。隈研吾氏も参加すると言う話もある。

20190220foursea1

そんな訳でこの日「フォーシーズンズホテル京都」にチェックインする前に「伏見稲荷大社」に向かう。2月は初午大祭もあるので縁起が良い事から毎年お参りに来るのだ。相変わらず、いや一層外国人でごった返すなか千本鳥居など通り、いつものコースを終えて待たせた車に乗り込む。さぁホテルへ急ごう。見えてきた玄関口から続くアプローチの長い竹林。千本以上の竹を使用したと言う100mに及ぶ竹垣には綺麗に化粧縄が巻かれている。
茂る美しい青竹・・奥にある茶色を基調としたシックな造りの建物がそれだ。車を降りてロビーに入ると温かみあるベージュ色の大理石が広がり落ち着く風情。正面奥やラウンジ横には華やかに花々が活けてある。フォーシーズンズホテル京都の装花を監修するのはフラワーアーティスト ニコライ・バーグマン(Nicolai Bergmann)氏だ。日本らしいアレンジメントをホテル館内各所に配置する。

20190220foursea3

館内にはレストラン・バー・プール・フィットネスジム・スパなどの施設があり、宿泊者やホテルレジデンスの利用者は全て利用可能。内装は最新設備とモダンなインテリアでありながら、日本伝統の雅な演出する清水焼・西陣織・障子・北山杉・樫木・畳・漆など日本の美学が満載。ロビーから見下ろす下階には、吹き抜けで「レストラン ブラッスリー」が広がる。竹をイメージしたデザインが印象的で開放的な空間となっている。
何より素晴らしいのは9m高の窓向こうのに望む、約800年の歴史を誇る名庭「積翠園」10000m2。広々なオープンエアテラスのソファに座って静かに眺めるのもいい。元は隣接する「妙法院」の境内だった積翠園。「平家物語」六波羅の項の記述から、平清盛嫡男・平重盛の別邸「小松殿」の庭であったと言われているが、現在の形が作られたのは豊臣秀吉により復興された後の江戸時代元禄と言う。

20190220foursea4

そんな日本庭園の注目点は中島に沿って並べられた5つの石「夜泊石」。不老不死の宝を積んだ船が港に停泊している姿を表し、長寿延年を祈願するものだ。他にも、大島へ渡る石橋の下には鯉が泳ぎ、井戸から汲み上げている滝口もある。庭の奥には茶室「積翠亭」も作られている。
前回宿泊した部屋は上から2番目のスイートルーム「1ベッドルームスイート(100m2)」だったが、今回は一人なので「フォーシーズンズルーム(53m2)」だ。プライベートバルコニーから名庭・積翠園と東山十八峰を眺めることができる。和のデザインがちりばめられたモダンなリビングやベッドルーム。ミニバーカウンターにはエスプレッソメーカーにティーセット。リビングのソファセットには京都特産の西陣織のクッションが雅に並ぶ。テーブルの上にはウェルカムアメニティに「あんぽ柿」「あまおう」がセットされている。

20190220foursea5

ベッドルームから繋がるバスルームは、ダブルシンク・レインシャワー・バスタブがありゆとりある。厚手のテリークロスバスローブやタオル、タオルスリッパ。バスアメニティはイタリア・フィレンツェのフレグランスブランド「ロレンツォ・ヴィロレッツィ(LORENZO VILLORES)」。フォーシーズンズホテルのために特別調香したシリーズだ。
加えて、金箔が散りばめられたフォーシーズンズ京都オリジナル「竹炭ソープ」もあり、「京都ちどりや」テトラ形に炭一色で描かれた竹柄パッケージングが印象的だ。最先端設備ながら樫木を多用した温かみある和のデザイン空間で、障子・漆・寝具などに至るまで京都の伝統工芸を用いている日本らしい落ち着く。便利なのは「備付のiPad」による便利なホテルサービスで、館内案内に加えルームサービスなどもこれで済ませる事が出来る。

20190220foursea8

そんな訳で、仕事で翌朝も早い男一人泊りのこの夜は、ホテルの3階にある「ミシュランガイド京都」1ツ星の江戸前寿司「鮨 和魂」に予約をしておいた。東京・青山「鮨 ます田」増田励氏の技を受け継ぐ。築地魚河岸から食材を毎日空輸で取り寄せ、山口将司氏ら複数の職人が握る江戸前が食せる。そこへ向かう為にロビーに降りて行くと、毎週土・日曜日の18時より行われている「舞妓さんの舞」に遭遇。
舞のあと舞妓さんがレストラン・ラウンジ・茶室に挨拶に回るので、一緒に写真撮影も出来るので外国人観光客に人気だ。「鮨 和魂」に入ると、8mの国産檜無垢一枚板の美しいカウンター(10席)は既に旅行客・地元客などで満席だった。8名までの個室もある。やや照明を落とした中、カウンター背後の壁の「職人手造りの錫タイル」が美しく浮かび落ち着いた空間だ。豊洲魚河岸で仕入れられた食材が空輸で運ばれるとの事。せっかくなので本日のお任せを頂くことにしよう。

20190220foursea6

前菜は「ずわい蟹とキャビアの土佐酢ジュレ」からスタート。繊細な酸味のジュレと蟹の旨味が調和し、これはグラスシャンパン「ジャクソン(Jacquesson)」にぴったりだ。そうそうこちらはワインや日本酒はグラスでも用意されていて楽しい。「お刺身」の後、調理場から運ばれて来たドンと大きな「蒸し鮑」は肝ソースで頂く。ねっとりと吸い付くような食感と食べ応えに溢れている。
手渡しで渡される「からすみ餅」、それから「のど黒の塩焼き」と続く。食材の良さが一口で分かるレベルの高い料理達。後半になるに連れかなり塩気も効かせており、ワイン等にもぴったり合う。ここからは白ワイン「ルフレーブ シャルドネ(Leflaive)」などと合わせる。さて鮨は「すきやばし次郎」譲りのやや大ぶりのシャリがネタと調和する。まさに好みの味わいだった。ザッとあげておくと、上品な旨味の「平目」、仄かな甘さの「墨烏賊」、海の香り豊かな「赤貝」と続く。

20190220foursea7

ここでおつまみ「鯛酒盗の茶碗蒸し」が供され、また握りに戻る。大間の「赤身」「中トロ」そして「大トロ」と3連打でもうかなり満腹になる。更に好みの味わいの「小肌」、次郎よりやや小ぶりながら甲殻類の風味のはじける「車海老」、江戸前らしい迫力の「煮蛤」に「雲丹」「穴子」。そして「巻物」「椀」「玉子」、加えてデザート「抹茶のパンナコッタ」で締めくくられた。結果この夜は一人鮨ペースで滞在1時間弱か。
握ってくれた職人さんも心得たもので、さくさくと美しい流線型の握りをテンポ良く出してくれ良かった。ホテル内鮨店と言うと街場の一流店には見劣りする方がどうしても多かった。考えれば日本のホテルなのに鮨に力を入れないのはもったいない話だ。「すきやばし次郎」DNAの鮨がホテルらしい上品な空間の中、丁寧な接客と美酒と共に楽しめるのだから、人気が出ないはずがない。そうだ「鮨 和魂」は今春「ザ・ペニンシュラ東京(The Peninsula Tokyo)」4階にオープンするほか、

フォーシーズンズホテル京都 Four Seasons Hotel Kyoto

マカオ(確か)にも出店予定と聞く。次回妻とまた宿泊した際は一緒にここに来よう・・などとつらつら思いながら「和魂」を出て部屋に戻りゆっくり寛いだ。ホテルのスタッフも相変わらずきちんとした接客で、今回も短いながらもホスピタリティーに満足した滞在となった。これから華やかなる京都桜の季節、こちらもさぞ大賑わいで忙しくなるだろう。