猛暑と暴風雨に襲われた今夏の日本列島。高温多湿に慣れているはずの南国福岡も、観測史上最高記録の38度には辟易したし、毎週の飛行機往復も台風の影響で気が気ではなかった。急に秋めいて来た先週末、我が家秋恒例のインテリア入れ替えに妻は楽しそう。新たに「ル・コルビュジエ(Le Corbusier)LC7」の色違いも入った。全体的ショコラやカフェオレ色、ボルドー色を刺し色に暖かい色合いのデザインに一掃。
ダイニングテーブルのクロスも赤くなり、飾りも枯葉や栗系の物になり食器類もダークな色合いになったので、一気に秋のワインモードにシフトチェンジの気分だ。そんな中一息付くのはお馴染み「ジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HÉVIN)」、これから一層ショコラが美味しい季節。この日は秋らしいガトー、アーモンド風味のサブレ生地にマロンクリームとカシスを合せビターチョコレートでコーティングした「テュラン」、

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そしてチョコレートサブレにマダガスカル産カカオの濃厚クリームの「タルト オ ショコラ」。加えて定番の「キャラメル」「ペルル クラッカン トゥ ショコラ ノワール」。これに合わせて開けたシャンパーニュは、妻が喜ぶ「ドン・ペリニヨン P2-2000(Dom Perignon Plenitude2 vintage2000)」。アフタヌーンからゆっくり楽しむには良いだろう。
サテン仕上げのずっしり豪華アルミニウム製ボックス、引き出すと黒い布に入ったブラック紋章のボトルが登場する。「ドン・ペリニヨン」は瓶熟成の8年、12~15年、30年の3回にわたってプレニチュードに達する」と言う考え方。前述の通常の「ドン・ペリニヨン」も8年の熟成を経てリリースされるが、このブラックラベルの「P2(旧エノテーク)」は更に16年の熟成を経る。既に「P2-1998年」は何本か開けている。

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美しいゴールド・・いわゆるドンペリ香は深くなり妖艶さをまとう。八朔の皮のコンフィ・黄桃・オレンジ・スモーク・・酸化のニュアンスは遠く、ピシッとしたミネラルが骨格をなしてトロッとした質感さえ感じる。別格の味わいではあるがいつ飲み頃が来るのだろうか。やはり9月に入るまではやはりシャンパーニュが多かった。と言う訳で今年は「ラブイベントワイン」「春のシャンパン特集」「梅雨に楽んだワイン特集」と挙げて来たので、
今日は続き「過行く夏のワイン特集」と言う事で備忘録的にいくつか家飲みを挙げておこう。まずはまだまだ暑かった先月、我が家が好きなメゾンの1つ1838年創業のシャンパーニュメゾン「ドゥーツ」から、「オマージュ・ア・ウイリアム・ドゥーツ(Hommage a William Deutz)2010年」を開ける。創業180周年となる2018年に新発売された、創業者ウィリアム・ドゥーツにささげる記念キュヴェだ。

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アイ村の単一畑(ミュルテット地区52%とラ・コート・グルシエ地区48%)で作られるブラン・ド・ノワール。2012年に区画ごとに仕込み180周年に合わせて発売した6000本限定だ。グラスに注ぐと、淡いイエローの中にキラキラと黄金の泡が立ち上がり美しい。苦みを感じる柑橘の皮・微かな白桃・酵母を感じさせるイースト・・甘さを感じさせない、ノンドセに感じるようなドライな印象。
ドサージュは3g/l程度か。舌先を刺激する泡が高い酸を押し広げ、ドライな余韻に続く。もう少し果実の甘さや旨味があった方がバランスが取れそう。そのドライでミネラリーな飲み口が、かえって猛暑の名残の夜にはちょうど良い。少なくとも現時点ではブラン・ド・ノワールの良さは感じられず、我が家の好みではなくドゥーツらしさは感じられない。「2010年」と言う事でまだ統合しておらず(デゴルジュマンの情報開示なし)、本領発揮はこれからだろう。

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これに合わせたのは「ジャン=ポール・エヴァン」期間限定の、人気の定番ガトーのプティサイズ5種と新作ヴェリーヌのミニ1種をセットにしたスペシャルボックス「コパン コピンヌ」。これもたまに登場すれば必ずチェリ~がゲットしてくる(笑)まずは、カカオのビスキュイと濃厚ショコラムースを組合せた「グアヤキル」。コニャック香るピスタチオ入りチョコレート生地とビターガナッシュを交互にサンドした「ピラミッド」。
オレンジピールとオレンジ香るビターチョコレートが爽やかな「サフィ」。艶やかなフランボワーズのジュレが目を惹く、ビターチョコレートとフランボワーズの間違いない美味しさ「ショコラ フランボワーズ」。ビターガナッシュをさくさくのマカロン生地でサンドした「マカロン ショコラ ア ランシエンヌ」。そして小さなヴェリーヌは「ヴェリーヌ ショコラ サンジュー」、ユズのジュレが爽やかなチョコレートムースで、ほのかに香るバジルがアクセントとなっている。

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その後日改めて食した通常サイズの「ヴェリーヌ ショコラ サンジュー」と、フルーティな香りのエチオピア産コーヒーのクリームとブラジル産カカオのムースの「ヴェリーヌ ショコラ カフェ」、マッチャムースとグリオットチェリーのジュレの「ヴェリーヌ マッチャ」と合わせたのは、すっかり我が家お馴染みの「ジェローム・プレヴォー ラ・クロズリー レ・ベギーヌ エクストラ・ブリュット(Jerome Prevost La Closerie Les Beguines Extra Brut)」。
ランス南西プティ・モンターニュのグー村。立地的には恵まれないが、世界的に引く手あまたのRMが「ジェローム・プレヴォー」だ。1987年21歳の時に2.2haの畑を相続し、アンセルム・セロスの愛弟子となり1998年からワインづくりをはじめ、1960年代に植えたピノ・ムニエの古樹からこの1種類「ラ・クロズリー レ・ペギン」だけを作り出す(2001年リリース)。「ラ・クロズリー」とは小さい農地と言う意味。

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ジョローム・プレヴォーは自ら小さな畑を耕す。農民が一生懸命働いているという自分のイメージをワインの名前に託した。グラスに注ぐとややオレンジを帯びたゴールド。クリーミーな泡が盛り上がる。ライムの皮・白桃・束ねた野薔薇・・などこじんまりとしつつも華やかな香り。ピノ・ムニエ100%らしい。アタックにはドライなミネラルを感じ、余韻にかけてきゅっと引き締めて行く。
まだ暑さの残る、週末の早い時間から楽しむ気分にぴったりの飲み口。2~3杯飲むと飲み疲れしてくるが、料理と共に飲むとまた別の雰囲気であった。そうだこれもあったか、「ジャン=ポール・エヴァン」今夏の新作、黄色いフルーツのような酸味を持つベトナム産カカオのムースを、チョコレートでできた器と共に頂く「ムース オ ショコラ アナム」。これに合わせて開けたのは、シックな黒いラベルが印象的な

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「セドリック・ブシャール ローズ・ド・ジャンヌ レ・ズルシュル(CedricBouchard Roses de Jeanne Blanc de Noirs)2012年」。「セドリック・ブシャール」もすっかり我が家お馴染みのレコルタン・マニピュラン。思えば「セドリック・ブシャール ローズ・ド・ジャンヌ」は、珍しい「ロゼ・ド・セニエ クリュ・ダンフェール ロゼ」を京都フレンチ「モトイ」で開けたり、
インターコンチネンタル大阪「ピエール」では「コート・ド・べシャラン」を開けたりもした。ニューオータニ東京のイベントでは「コート・ド・ヴァル・ヴィレーヌ」を飲んだか。コート・デ・バールにあるセル=シュル=ウルス村に2000年創設でわずか3.1ha。畑(ビオロジック)からラベル貼りまで基本一人で行う「オートクチュール・シャンパーニュ」。こだわりの少量生産なので当然ながらなかなか手に入らない。

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単一畑、単一年、単一品種(ピノ・ノワールかシャルドネ)のシャンパーニュが基本だ。ステンレス槽で一番搾り果汁だけで仕込む(補糖・ろ過はなし)。わずか0.9haのこの「Les Ursules(レ・ウルシュル or ズルシュル)」は彼が父親から引き継いでワイン造りを開始し、2002年に「ローズ・ド・ジャンヌ」レーベルで発売開始した記念すべき畑。毎年250から300ケースのみ産み出されている。
グラスに注ぐと香りは控えめ、ナッツ・酸化熟成の香り・・スワリングするとぬるっとした海藻的なミネラル感。一瞬オーク?というような酸化のニュアンスも、ステンレス発酵のため行き過ぎず果実のピュアさに収斂する。柔らかいガス圧による落ち着きのあるアタックから、中盤にかけて高く落ち着いた酸が上品さを醸し出す。まろやかな余韻は充実しつつもやはり優しく透き通った印象を残す。

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ブラン・ド・ノワールらしい深みとセドリック・ブシャールらしい洗練さが実によく調和したしなやか味わいだ。ドサージュしていないキリッと引き締まった飲み口。それでいて優しいぬけ感ある浮遊感を伴った味わいが、残暑の乾杯には実に良く合った。
そうそう我が家の日常乾杯シャンパーニュと言えば「ドン・ペリニヨン」の若いヴィンテージ、加えて休日には古酒の「ドン・ペリニヨン ヴィンテージ(Dom Perignon Vintage)1996年」も開けた。
その後日更に珍しいベル・エポックの古酒「ペリエ・ジュエ ベル・エポック ブリュット(Perrier JouetCuve Belle Epoque Brut)1995年」を開けてみたので、今回はそちらを紹介しておこう。レストランでも若いヴィンテージしかみかけない「ベル・エポック」だが、昨年末ホテル日航福岡「レ・セレブリテ」で取っておいてくれた珍しく古い「1988年」を開けて美味しかった。

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1811年エペルネに創業した老舗シャンパニュ・メゾン「ペリエ・ジュエ」。1961年にはイギリスのヴィクトリア女王、その後フランス王室の御用達になっている。そのプレステージ・キュヴェが「良き時代」を意味する「ベル・エポック」。ボトルに描かれた白いアネモネは、1902年に3代目アンリ・ガリス(Henri Gallice)がアール・ヌーヴォーを代表する工芸家エミール・ガレ(Émile Gallé)依頼したもので、
1964年に発見された。そうだ銀座「ベージュ アラン・デュカス 東京」では「2002年」を開けた。予想通りのかなり深いゴールド色に、超微細な泡がしっとりと溶け込んでいる。ヌガー・キャラメリゼした白桃・レモンピール・デクパージュしたオレンジの皮・・・など複雑な香り。柔らかな酸と穏やかな旨味が丸いバランスを保った飲み口を奏でる。

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25年ちかく熟成したシャンパンになると、良い意味でも悪い意味でももう少しナッティになり深すぎるものも出てくる。しかしその寸前で止まった儚い美しさが印象に強く残る。シャルドネ50%、ピノ・ノワール45%、ピノ・ムニエ5%、ドサージュ9g/l。シャルドネの良さが表現されていると言えるだろう。そしてまだどこか凛としたミネラル感やエレガンスが、若い時分の「ベル・エポック」にも通じる。
その意味で我が家が重視する「若い時との連続性ある、熟成したシャンパーニュ」だ。ちなみにこれに合わせたスイーツは、これも我が家定番「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(LA MAISON DU CHOCOLAT)」の焼き菓子達。特に夏はこのレモンピールの香り豊かな「カトルカート ケークシトロン」が爽やかでお気に入りだ。さてシャンパーニュを何本か挙げたので、白ワインもピックアップしておこう。

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白を開けるのは少ない我が家も、暑い夏の名残りを癒しつつ秋に繋がるような白ワインも手にする時期だ。選んだのはスペインの「レメリュリ レメリュリ・ブランコ(Remelluri Blanco)2014年」。リオハで16世紀からワイン造りを開始した歴史あるドメーヌ「レメリュリ(Remelluri)」。1967年にハイメが購入し、2010年からはその子、テルモ・ロドリゲスが手掛けて評価を上げている。
ロドリゲスは、ボルドーで学び「シャトー・コス・デストゥルネル」などで修業したが、スペイン・リオハ固有のテロワールの表現を目指している。中でもこの「レメリュリ・ブランコ」は生産量6000本程度。「アルヴァジア」「モスカテル」「アルナッチャ・ブランカ」ほか6種類の葡萄を使用する白ワインだ。グラスに注ぐと明るいイエローが美しく揺れる。熟した洋梨・レモンオイルに浸したグレープフルーツの皮・バター・木樽由来のゴムのニュアンス・・

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少しオイリーさも感じる厚みあるアタック。舌先には果実の凝縮した甘みと旨味をポンとダイレクトに感じる。中程度の酸がそれを余韻にかけて押し広げ、全体のバランスをとる。ボリューム感ある味わいだが、引き締まった体躯でフレッシュさも残している。1杯目飲み始めると一瞬、ブルゴーニュの定評ある白を思わせるが、飲み進めるにつれて確かに独特の魅力に引き込まれていくのを感じた。
そしてこれと共に楽しんだデザートはもちろん、同じスペインの王室御用達ショコラテリア「カカオサンパカ(CACAO SAMPAKA)」の焼き菓子達。そして暑さも和らぐに連れて本格的に赤ワインも増えてくる。そんな週末、軽いピノノワールが飲みたくなりセラーから選んで開けたのは、黒ラベルが渋い「プロフェッツ・ロック キュヴェ・オー・アンティボード(Prophet’s Rock Cuvee aux Antipodes Pinot Noir) 2015年」。

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ニュージーランドに1999年創業したばかりの「プロフェッツ・ロック」だ。ブルゴーニュの「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ(Comte Georges de Vogue)」醸造責任者フランソワ・ミレ(Francois Millet)が、ニュージランドのセントラル・オタゴでコンサルタントしたドメーヌ。プロフェッツ・ロック醸造責任者ポール・プジョル(Paul Pujol)も2009年には「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ」で修業している。
この「キュヴェ・オー・アンティボード」のファーストヴィンテージ「2015年」は、わずか293ケースのみの生産となっている。フレンチオーク樽(新樽比率は33%)で17ヶ月間で熟成。新樽33%。2016年11月にノンフィルターでボトリングされた。ちなみにコルクはブショネの恐れがないディアムコルクだ。グラスから立ち上がるブルーベルー・ブラックチェリー・ザクロ・

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薔薇・梅キャンディ・オリエンタルスパイス・紅茶・・・それらが実に上手く微かな樽香に包み込まれている。少し青いノートがポイントの複雑な香りに引き込まれる。軽くも甘くしなやかなアタック。中心部には熟れた果実が自然に存在する。そこから程よい酸味がミネラルとともにチャーミングな余韻を長く残す。昨年同ヴィンテージを飲んだ時よりも樽香が溶け込み、香りにかなり発展がみられた。
甘酸っぱい球体を感じさせる独特の味わいを、ゆっくりと楽しんだ。続けて開けたのはドイツのピノ・ノワール「ベルンハルト・フーバー シュペートブルグンダー トロッケン マルターディンガー・ビーネンベルグ(Spat-Burgunder Trocken Baden Bernhard Huber Weingud MalterdingerBienenberg R)2000年」。1987年創業のベルンハルト・フーバー醸造所の作り出すピノ・ノワール(シュペート・ブルグンダー)。

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2008年には独ワインガイド「ゴーミヨ」において最優秀醸造家賞を受賞した。マルターディンゲン村は700年前フランス・シトー派修道僧が、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイの地層・土壌(貝殻石灰岩)に似ている事から、ピノ・ノワール栽培地として選んだ由緒ある土地。赤みを帯びた粘土石灰質土壌は正に「シャンボール・ミュジニー」と同じだ。ビーネンベルク畑は2008年、グローセス・ゲヴェクス(特級畑)に認定された。
グラスから立ち上がるのは、粘性ある赤いフルーツジャム・アセロラ・木樽由来の香りの中に赤身肉・・・控えめながら複雑でチャーミングな香りだ。時間と共にやや発展した土の印象も出てくる。凝縮した赤い果実感が、透明なミネラルの細長い器に入っている印象だ。高い酸がエレガントな飲み口に一役買う。アルコール度数13%。余韻には滲み出るような苦みが薄く残る。開ききれていないのか、熟成の限界かは判断がまだ付きかねる。

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いずれにせよ若い時のフーバーと同様スルスルと飲み進められるピノ・ノワール。べたつかない飲後感とともに、暑さのまだ残る9月初旬にはぴったりであった。これには我が家お馴染み丸の内「エシレ・メゾン デュ ブール(ECHIRE MAISON DU BEURRE)」の「フィナンシェ&マドレーヌ」を合わせた。
あ、これも挙げておこう、平日に開けてみた「マーク・ハイスマ ポマール プルミエ・クリュ クロ・デ・ザルヴレ(Mark Haisma Pommard 1er Cru Clos des Arvelets) 2015年」。2009年に創設されたばかりのブルゴーニュの新星マーク・ハイスマ。畑を持たない小規模生産、いわゆるマイクロ・ネゴシアンになる。パリでの料理人を経てワイン造りを始めたオーストラリア人だ。造り始めて10年にも満たないが、既に英国を中心に人気が出ている。生産量が少ないのでなかなか目にしない。

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我が家も見掛けると必ず手にするようにしている新進気鋭のドメーヌだ。去年「サン・ロマン コンブ・バザン」「モレ・サン・ドニ レ・シャフォ」共に「2014年」を紹介した。グラスに注ぐとクリアなルビー色、甘い赤系果実・タバコ・スミレ・甘い紅茶・・香りは閉じておりシンプル。すべらかなアタックから果実の芯は感じる。すべらかなタンニンとミネラルが調和しつつ、口蓋を刺激し余韻は長い。
ポマールらしいぽってりした味わいながらも現代的な作り。軽くしなやかに平日に飲むピノ・ノワールとしてはなかなか。またしてもマーク・ハイスマの力量を思い知った一本となった。その他も言うならこれか「フィリップ・パカレ ジュヴレ・シャンベルタン ラヴォー・サンジャック(Philippe Pacalet Gevrey-Chambertin 1er cru Lavaux Saint-Jacques)2006年」かな。1991年からは「DRC」オーナーの一人である

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「プリューレ・ロック(Prieure Roch)」の元で10年に渡って醸造責任者を務めたフィリップ・パカレ。DRC醸造長就任の誘いを断って自信のドメーヌを立ち上げた。この年8月は天候に恵まれずに涼しかったが、9月に天候が回復し葡萄が成熟、結果9月26日に良収穫となった。この「ラヴォー・サンジャック」は樹齢45年。グラスに注ぐと立ち上がる濃い紅茶・アジアンスパイス・赤身肉・萎れはじめた薔薇・・・
複雑で高い芳香性が魅力的だ。いかにも上質なブルゴーニュという香り。時間とともに少し土っぽさや茸っぽいニュアンスも流れ出し、熟成の始まりを感じさせる。アタックから広がる高い酸がラヴォー・サンジャックらしく、儚いほど優しい。アルコール度数12.7%と控えめで柔らかな旨味が広がる様がフィリップ・パカレらしい。細かいスパイシーな余韻は長く、ジュヴレ・シャンベルタンの雰囲気を最後に醸し出してくる。

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魅惑的な香りに魅了されるドメーヌと言えるだろう。これには我が家定番エシレ、大阪・梅田にある「エシレ・マルシェ オ ブール(ECHIRE MARCHE AU BEURRE)」数量限定「クイニーアマン」を合わせて楽しんだ。では次で最後にしよう、夜は肌寒さも感じ始めたここ数日、開けたのはボルドー最高峰ワイン「シャトー・ラフィット・ロートシルト(Château Lafite-Rothschild)1999年」、
我が家ではすっかりお馴染み登場頻度も高い。昨年クリスマスには「ガストロノミー ジョエル・ロブション」で古く貴重な「1966年」を開けた。中世から葡萄作りは行われていたが、17世紀セギュール家所有から本格的になった。ヴェルサイユ宮殿の晩餐会でポンパドゥール夫人が愛飲し「王のワイン」と呼ばれていた「ラフィット」。この「1999年」ボトル上部には1999年に起こった「日食」を顕す

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「月と太陽」がペイントされている。カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%、プティ・ヴェルド3%、カベルネ・フラン2%。朝焼けの杉の皮・メントール・表面がやや乾燥した赤身肉のブロック・・しなやかなアタックからキュッと引き締まった黒果実の塊。それが確かに溶け始めていて口の中で上品な酸とともに広がりを見せる。余韻は長くエレガント、ややねっとりした旨味のエキス分が口の周りに残る。
ラフィットらしい浮遊感とまろやかなバランス感、それとポイヤックらしい黒果実の凝縮感がせめぎ合いながら様々表情を見せる。妻も「この腐葉土なブーケが秋よね♪」と機嫌よく楽しんでいた。晩夏にはイタリア・ニュージーランド・ドイツ・スペインと色々な国の赤ワインも開けてみたが、やはり王道ボルドーの完成度は群を抜いていると改めて実感した1本。熟成のベクトルからするとまだまだこれからだが、

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我が家の好みの範疇内にある満足度の高い「ラフィット」であった。これには銀座シックスにある「フィリップ・コンティチーニ(PHILIPPE CONTICINI)」の、クイニーアマンとタルトタタンを組み合わせたスペシャルでボリューミーな「クイニー・タタン」を合わせ、ゆっくりと秋の夜長を楽しむ事ができた。
いよいよ赤ワインが楽しめる時期が到来した、じっくり秋の夜長にお気に入りのワインを開けて行くとしよう。それはまた次回に続く・・