更に続く「ルイ・ヴィトンによるコート・ダジュールの旅」。「ルイ・ヴィトン 2019年クルーズ・コレクション(Louis Vuitton 2019 Cruise Collection)」ファッション・ショーに招待されている為「インターコンチネンタル カールトン カンヌ(InterContinental Carlton Cannes)」に滞在中の私達。地中海を見渡せるスイートルームでのんびり朝を過ごした後は、ルイ・ヴィトンからの招待でドライブがてらのランチ予定。
世界中の招待客をカンヌ周辺でもてなす規模の大きさは流石よ。約束の時間にロビーに降りて行くと、ルイ・ヴィトン・ジャパンのプライベート・クライアント嬢2人が待っていてくれた。招待されている日本顧客3組をレストランに案内してくれるとの事。それぞれがLVマーク入り「メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)V-Class」に乗り込みホテルを出発するわ。私達の車はいつものイケメンドライバーくんのパーフェクトな運転。同乗してくれたLVエリート嬢はさすが、

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車内でファッション業界や大組織LVMHの事まで色々と、知的でグローバルな話盛り沢山で楽しかった。車は小雨降る中海岸線から内陸へスイスイ入って行く・・南仏らしく赤やピンク黄色などカラフルで可愛い民家が増えて来た。コート・ダジュールには実は山岳地も多い。海辺から見えにくい岩山の頂上に、石造りの民家を密集させて城壁で囲んだ小さな村「鷹の巣村」がいくつもあるの。サラセン人の襲撃から
身を守るために築いたそんな中世の要塞都市は、まるで鷹の巣の様に見えるのでその名が付けられた。中でもニースの北西20キロの山麓にある「サン・ポール・ド・ヴァンス(Saint-Paul de Vence)」は、フランスで最も美しい村の1つとされる。そう、向かっているのはその世界中から称賛される美しい村、この日の夕方にはその一角「マーグ財団美術館(Fondation Marguerite et Aime Maeght)」で「2019年クルーズ・コレクション・ショー

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(Louis Vuitton 2019 Cruise Collection Fashion Show)」が行われるの♪ ワクワクして待ちきれない。その前の明るい時間に秘境「サン・ポール・ド・ヴァンス」の全貌を拝見すると言う素晴らしいランチタイムよ。ここは14世紀は国境防衛の重要な都市で、16世紀にはイタリア戦争の為城壁が造られ現在の原型となる要塞都市に、17世紀はバロック芸術の中心地に、19世紀以降は
世界的な芸術画家が集まる光降り注ぐ村として栄えた。2011年3月までは「サン・ポール(Saint-Paul)」という名称だったの。標高200m程度3400人の旧市街、森に囲まれた急峻な崖の上に立つ楕円型の城壁中は、石畳の小道が迷路状になっていて石造りの家々が寄せ集まり、大噴水に大砲座なども昔のまま置いてある。まるで中世にタイムスリップしたかのような不思議な世界。特徴的なのはその中に近代美術が点在する事。芸術・工芸家のアトリエや

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ギャラリーも多く、19世紀から20世紀にかけて多くの巨匠画家・詩人達が、パリからこの付近に拠点を移したことはよく知られている。パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やジャン・コクトー(Jean Cocteau)、アメデオ・モディリアーニ(Amadeo Modigliani)にピエール・ボナール(Pierre Bonnard)、そしてジョアン・ミロ(Joan Miró)にアンリ・マティス(Henri Matisse)・・そう何と言っても
マルク・シャガール(Marc Chagall)ね。村の南端ニース門近くのセメンタリオ(共同墓地)にはシャガールのお墓があるの(妻ヴァランティーヌ・ブロツキーと妻の弟ミッシェル・ブロツキーも一緒に)。「この街の光が最も美しい」と称した彼は、63歳(1950年)から20年ほど居を構え、晩年を精力的に芸術活動した。その他にもポール・シニャック(Paul Signac)やラウル・デュフィ(Raoul Dufy)にシャイム・スーティン(Chaïm Soutine)と

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アート好きにはたまらない夢の街なの。あ、ついでに言うと村の入り口には、数年前リチャード・ギア主演で日本の「フランス炭酸飲料 オランジーナ」のCMが撮影されたカフェがあるんだけど、そこはかつて仏俳優イヴ・モンタンが経営し、彼と仏女優シモーヌ・シリョーレとの結婚披露時にも使われたそう。前の広場は鉄の玉を転がすフランス版ゲートボール「ペタンク」発祥の地でもあり、今でも普通に
現地のオジサマ達が昼間から遊んでいるからびっくりするよ。もう1つ日本的ネタで言うと、フリーアナウンサー中村江里子氏、御主人がこの村出身と言う事で結婚式を挙げたよね。と言う訳で話を戻して、3台連なったLVマークの車はクルクルスイスイ山を上がって行く・・・車窓から城壁外を見下ろすと、壮大な山々に自然豊かな青々と輝く森が広がり、遠くに青く輝く地中海も見渡せる。これはスゴイ!驚いているうちに、いよいよ「サン・ポール・ド・ヴァンス」出口付近、

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交通量の多い街道沿い(350 Route de Saint-Paul)にある「オテル & レストラン アラン ロルカ(Alain Llorca Hôtels et Restaurants)」に到着!住所的には隣村「ラ・コル・シュル・ルー(La Colle-sur-Loup)」入り口だが、中世時代は「サン・ポール・ド・ヴァンス」と統合されていてここは境界線にあたる。門を入ると玄関には大きな「ROCKING BULL」や白玉に乗った親子?のオブジェが出迎えてくれる。
玄関横の駐車場にはテオ・トビアス(Theo Tobiasse)の銅像「LE BELLEROPHON」も飾られていた。車を降りるとジャスミンの香りに一気に包まれる。入ってエントランスの左側ホテルフロントからは、毛並み美しい看板猫Chaussetteが伸びをしてニャーとご挨拶。その向こうに広がるロビーには、地元作家キャロライン・モーガン(Caroline Mollanger)女史の墨絵風作品がいくつも飾ってある。エントランス右側にはケーキ類のショーケース・・ではここからは主人のレポートにしよう。

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夫婦で経営するこの4ツ星ホテルは10部屋のオーベルジュで、レストランもミシュラン1ツ星と好評価だ。エントランスロビー正面奥、メインダイングの手前にはオープンキッチンがあり、アランシェフが料理しながら笑顔で出迎えてくれた。挨拶をしながらダイニングに入って一気に広がる景色に一同思わず声を上げた。見晴らしの良い事この上ない、これを息を飲む絶景と言うのだろう。
何より「サン・ポール・ド・ヴァンス」鷲ノ巣村全体が見渡せ、丁度目の高さ向こう丘の上に見える城郭の素晴らしさ。12世紀ゴシックの「サン・ポール・ド・ヴァンス参事会教会」もそびえる。もっと天気が良ければ7・8キロ先の地中海も一望出来るという。「ここの景色は素晴らしいだろう!?」と自慢するアランシェフは1968年カンヌで生まれ育った。16歳から料理の世界に入った長いキャリアを誇る。1996年から4年間はニースを代表する

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1912年創業の有名ホテル「ネグレスコ(Hotel Negresco)」内レストラン「ル・シャントクレール(Le Chantecler)」料理長として腕をふるう。2004年にロジェ・ベルジェ(Roger Verge)氏の「ムーランドムージャン(Moulin de Mougins)」のシェフとして後を継いだ。そして独立、2009年に自らの名前を冠したオーベルジュをこの地に立ち上げたと言う訳だ。
2012年からミシュラン1ツ星を維持している。なお現在ニースとヴァロリスに「カフェ・ロルカ(Cafe Llorca)」もオープンし、こちらはビブグルマンだ。では「サン・ポール・ド・ヴァンス」全体を見下ろしながら優雅に地中海料理を頂こう。全ての席が眺望の良いテラスダイニングなので、客もリラックスしで思い思いにゆっくりと流れる時を楽しんでいる。さっきまで降っていた雨も止んで、青空も見えてきて益々周囲の景色が輝いてくる。まずは乾杯しよう、

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ソムリエがシャンパンワゴンを運んできた。この日用意されていたグラス・シャンパーニュは「アンリオ」や「フィリポナ ロゼ」など。「アンリオ ブラン・ド・ブラン(Henriot Blanc de Blancs Brut)」のキレのよい酸味と上品なシャルドネの味わいと共に、アミューズ「メロンのスープ」「スティックパイ」「オリーブ入りミニタルト」を頂く。「黒オリーブのパン」にはやはり薫り高い地元産「オリーブオイル」だ。
村からそよぐ爽やかな南仏の風が身も心もリラックスさせてくれる。そこに運ばれて来た前菜は、「黒トリュフを詰めた花ズッキーニ マッシュルームとバターソース(Poupetton of Zucchini Flower/stuffed with black truffle melanosporum/mushrooms butter sauce)」。黒トリュフを細かく刻んでズッキーニに詰めた一皿だ。南仏のトマトを飾りソースもアートだ。花ズッキーニにナイフを入れると黒トリュフがほぐれ顔を見せる。

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様々なキノコを使ったバターソースは滋味深い旨味に溢れている。ソースの風味とトリュフの香り、そしてズッキーニのほろ苦さが調和する。クラシックな味わいであるが、味付けは現代風でどこか軽やかさも感じさせる。かなりのボリュームに見えるがすべらかなソースとともにあっという間に食した。これはかなり好みの味わいであった。聞けば野菜は周辺100m以内で生産された物を使用すると言うこだわりだ。
ランチなので白・赤ワインはソムリエにお任せしよう。白はブルゴーニュ「フランソワ・ミクルスキ ムルソー(Francois Mikulsk Meursault) 2015年」。さっとチョイスしてくるワインにもセンスを感じる。1992年がファースト・ヴィンテージ、我が家も好きな作り手の一人だ。ムルソーを中心に約8ha16区画所有リュット・レゾネ。この「ムルソー」はグットドールの下方複数区画の葡萄から作られる。ほろ苦さを感じさせる柑橘系とナッティな香りが交差しながら爽やかに流れる。

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高い酸と程よい厚みある飲み口が調和した、ランチには十分な味わい。チョークでの文字をイメージしたラベル通りに、芯の通ったミネラル感もエレガントだ。バターソースのふくよかさにも負けずに調和しつつ、好ましい酸味はアクセントとしてピタリと料理に寄り添ってくれた。続いてメインはイベリコ豚のロースト(Roasted Rack of an Iberian pork/A melon chutney/Some local chanterelles)が運ばれてきた。
イベリコ豚の塊にしっとりと火を入れている。地元のキノコ類も添えた上、最後にテーブルでフルーツのソースが流されて完成だ。イベリコ豚は柔らかい食感だが、噛みしめるうちに野生の風味も上品に感じられる。そこにキノコや若干スパイスも感じる甘酸なソースで変化を加える趣向だ。シンプルながら素材をピュアに味わえる。テーブルを囲む私達日本人は皆「酢豚っぽい?」と笑いながら賑やかに美味しく頂いた。それにソムリエが合わせてくれた赤ワインは、

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ブルゴーニュ「ジェノ・ブーランジェ ポマール(Genot Boulanger Pommard Vieilles Vignes) 2015年」。「ポマール」はコート・ド・ボーヌの代表的な赤ワイン地区だ。「ジェノ・ブーランジェ」は1974年ムルソーに設立、2007年からは完全有機栽培にも取り組む。「アラン・デュカス」のレストランにもオンリストされている造り手だ。アラン・ロルカシェフがアラン・デュカスシェフとも
関わりがある事から入れているのかもしれない。これも上手い合わせ方だろう。ポマールのややどっしりしたピノ・ノワールの果実味にイベリコ豚の上品な野生味の相乗効果を狙った。若い村名クラスなのでかえってシンプルな料理を邪魔しない。余韻に残るタンニンも料理に複雑さを添えてくれた。続くチーズは「Selection of mature cheeses from Maitre Anthony(Alsace)」。アルザスの星付きレストラン御用達のチーズ達だ。大きな丸ワゴンに並ぶそれらは種類豊富でさすがに壮観。

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得も言われぬ様々な香りがテーブルまで流れてきた。一息付いて最後のデセールは、妻が「チョコレートタルト(Like a Grand crus chocolates tart/vanilla ice cream and Timut pepper)」、私が「郷土菓子カリソン(Calisson of Provence with local citrus fruits/blood orange sorbet)」をお願いする。層になった美しいメダリオンのチョコレートタルトには、バニラアイスクリームとペッパーを添えた。
チョコレート好きの妻も大喜びのグラン・クリュ・ショコラのタルト、ぺろりと大満足のデセールだったようだ。私がチョイスしたデセールは、結婚式でも使われる幸せを呼ぶプロヴァンスの郷土菓子カリソンを再構築したもの。やはり菱形が特徴だ。岩を削った様な個性的なデザインの皿に乗せられたそれは、柑橘系フルーツとブラッドオレンジのソルベが添えられている。爽やかで軽そうだが食べ応えもあり、景色とも相まって南仏らしさを体感できる一皿だった。食後のコーヒーと各種ハーブティーも

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南仏らしい小菓子(フルーツが乗ったプティシューなど)と共に味わい、素敵なランチを締めた。地元の上質の素材にアランシェフの手を加えたモダンクラシックな地中海料理達。会話を邪魔せず風景に寄り添い、予想以上の満足感を与えてくれた。アランシェフやマダムも頻繁にテーブルを回って家族経営らしい近さも魅力だろう。最後は記念写真を撮ったりハグしたり、皆でワイワイ楽しい時間を過ごし名残惜しい気持ちで車に乗り込み、山間美しいそのレストランを後にした。
再びイケメンドライイバーの安定した運転でカンヌに戻るよ~。また「クル-ズ・ショー」でこのサン・ポール・ド・ヴァンスに戻って来るけど、今度は村反対側の山上部になる。山をスイスイ降りて行くうちにまた雲が出て雨が降り出してきた。ルイ・ヴィトン ウィメンズ・コレクション・アーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)のファッション・ショーで、

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過去に雨は降らない(止む)と言う最強晴男伝説はどうなる事かと心配しつつ、宿泊先「インターコンチネンタル カールトン カンヌ」に戻る。LVゴージャスランチを満喫したせいで、気が付けば思ったより午後も時間が押して、プロによる「ヘアメイク」があるからと皆足早に部屋に向かった。と言う訳で20世紀の絵画・彫刻やグラフィックアートのヨーロッパ最大のコレクションを所有する「マーグ財団美術館」、
次回はそこで行われる「ルイ・ヴィトン 2019年クルーズ・コレクション」現地実況編をお届け。ジャコメッティやミロとLVニコラの歴史を越えた世紀の供宴よ♪ 続く・・