バレンタインの2月からホワイトデーにかけて、我が家ではいつにも増してワインが多く開けられる。今年も気が付けばバタバタと楽しんでいたので、先日の「冬うちワイン avec du Chocolat」に続き、思いつくまま備忘録的に「LOVEイベントな家飲みワイン」をザッとアップしておこう。まずはバレンタイン、我が家では毎年恒例「ドン・ペリニヨン ロゼ(Dom Perignon Rose)」を開ける。
ホワイトデーもクリスマスも夜桜デートも結婚記念日も妻はロゼ・シャンパーニュを希望する。中でも「ドン・ペリニヨン ロゼ 2003年」はお気に入りでよく開けているし、「1995年」や「1996年」ももう数本も開けている。そして去年のバレンタインはサイバーピンクラベルの「2004年」にした。実はそれまでは「2004年」を何度明けても今一つだったのだが、この時はやっと好みの状態に熟成していて楽しめた。

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そこで今年開けたのは「2005年」。2005年と言えば不安定な天候状態だったが、夏の酷暑から9月の雨で気温が下がり、結果糖度も良く上質な葡萄が収穫できた。グラスに注ぐと美しいサーモンピンクの中に繊細な泡がキラキラと立ち上がり、芳醇な果実味が一気に広がる。薔薇・ラズベリー・レッドチェリー・・芳香性が高い。アタックからチャーミングな酸味と甘みが調和してバランスが取れている。
ミネラルの皮が薄い骨格としてピュアな果実を包んでいる。いつもながらエレガントな余韻の長い飲み口に満足した。これに合わせたスイーツは、日本初登場の新進気鋭「アンテュイション バイ ジェローム・ドゥ・オリヴェラ(INTUITIONS by Jérôme De Oliveira)」から花束のようなスペシャリテ「ギモーヴ ア ラ ローズ」。5月に咲くみずみずしいバラの花びらを一枚一枚丁寧に冷凍保存、色や香りもそのままにと言う薔薇の香り満載の個性的なギモーブは、インスタ映えは完璧だが

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なかなか2個目に行くのは大変だった(笑) これに続いてバレンタインに開けた赤ワインは、これまた妻の鉄板「シャトー・ラトゥール(Château Latour)」。ボルドーの北西メドック地区ポイヤックに位置し1331年からの長い歴史を誇る。ラベルには14世紀中頃に建てられてた円形の要塞「サン・ランベールの塔」(実は鳩小屋)が描かれている。パリ万博前1855年に格付け第1級を獲得。
1993年にフランソワ・ピノー氏(Francois Pinault)がイギリスから取り戻した。それ以来数年に渡る大規模改革を行い、品質向上には目覚ましいものがある。と言う訳でこの夜開けたのは「2007年」。昨年秋以降で言うと「2001年」「1994年」と来て、銀座「ベージュ アラン・デュカス 東京(BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO)」で開けた「1995年」が最も良かった。チョコレート・エスプレッソ・ハーブ・黒胡椒・杉の木の皮・黒土。

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まだ閉じ気味ながらポテンシャルを感じる、いかにも「ラトゥール」らしい香りに包まれる。凝縮した黒い果実の中から甘いタンニンが広がるイメージだ。すべらかながら長い余韻はかなりスパイシーで「オー・ブリオン」的なニュアンスも。「2007年」と言う控えめなヴィンテージながら、この1本は2016年に「ラトゥール」から蔵出しされた物と言う事もあり、保存状態が良く満足度が高かった。これに合わせたショコラはこれも日本初上陸の
カンタン・バイィ(Quentin Bailly)」から「優しさに包まれて」と名打たれたショコラアソート。ジャスミンやハチミツのガナッシュ、ピーカンナッツのプラリネなど16種で、色々な味わいをワインと楽しんだ。ちなみにこの前日、バレンタイン・イヴに開けたのは「フレデリック・エ・ロドルフ ミニエール・アンフリュアンス・ブリュット(Minière F&R Brut Influence)」。「ジャック・セロス」で修行したフレデリックとロドルフ兄弟が作り出す

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注目のレコルタン・マニピュランだ。1999年、モンターニュ・ド・ランス マッシフ・サン・ティエリー地区エルモンヴィル村にてブドウ栽培を行い、大手ネゴシアン・マニピュランにブドウを売却してきた。2007年からワイン造りをスタートしたばかりだ。それでも既に星付きレストランにオンリストされるなど評価が高い。セロスと同様に樽発酵と樽熟成による醸造、ノン・マロラクティックで長期熟成させる。
この「アンフリュアンス」の生産本数はわずか3500本。2009年の葡萄85%に2008年の葡萄が15%。ピノ・ノワール35%、ピノ・ムニエ40%、シャルドネ25%。30%を新樽、残り70%を5年以上使用した古樽で醸造、澱と共に7年寝かせる。グラスに注ぐと濃いゴールドに立ち上がる美しい泡。オークのクリーミーで甘くオイリーなニュアンス、洋梨・柑橘の皮・微かな蜂蜜・・その妖艶で魅惑的な香りに一瞬にして惹かれるが、行き過ぎておらずどこか謙抑的。

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ドサージュ5.5gだが甘く感じるのは果実が十分に熟しているからだろう。中盤から背筋の伸びたミネラル、マロラクティック発酵をしない事から来る柑橘系的高い酸味、そしてハードな切れある苦みが残る・・・そんなコントラストも魅力の1つだ。妻は1杯目は楽しそうにグラスを傾けたが、まだ統合しきれていないせいか(デゴルジュマン2017年2月)、飲み進めるにつれて飽きたようであった。
「2015年」がファーストビンテージ、これからどんな発展を見せてくれるか注目のグローワーだろう。そしてバレンタイン後の週末に開けたのは「ドン・ペリニヨン(Dom Perignon) 1995年」。1995年と言えば春は寒く曇りがちだったが、6月末に始まった暑さによって開花の遅れを取り戻した。そのまま秋までは雨量が少なく猛暑で、9月18日にシャルドネを、9月25日にピノ・ノワールの収穫となった。グラスに注ぐと濃くクリアなゴールドの中を

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微細な泡が一瞬立ち上る。ミツやカフェオレなど熟成したシャンパーニュらしい魅惑的なブーケ。その後温度が上がるにつれ、麝香的なスパイスやオレンジのコンフィチュールのニュアンスも微かに出て、より複雑になってくる。優しくも気品あるミネラルの骨格の中に、上品な果実味がしっとりと溶け込んでいる。そこから酸が膨らみ全体が滑らかに統合している。余韻には微かな苦みとねっとりした甘みが調和しつつ流れ出る。
十分に熟成しているけれど泡の刺激、ミネラルの存在感に十分な酸もあり、まだまだ健全に熟成していくと言った感じだ。こちらの保存状態もかなり良くポテンシャルの高い熟成ドンペリであった。これにもドンペリ・ロゼ同様にジェローム・ドゥ・オリヴェラのラビリンスのような雫型「ショコラ アソート ガナッシュ」を合わせた。そしてやっと春めいてきた3月桃の節句、お雛祭りの日と言う事で開けたのは、女子が喜ぶティアラなキラキラボトルの

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「パイパー・エドシック キュヴェ・レア ミレジム(Piper Heidsieck Cuvee Rare Millesime) 2002年」。葡萄のつるがデザインされていて、ボトルネックには赤いリングがはめ込んである。以前もこの「2002年」や「1999年」を開けているが、味というよりイメージ優先で選ぶことが多い。プレステージ・シャンパーニュ「キュヴェ・レア」は、「王妃にふさわしいワイン」を掲げてスタートし、
皇室の御用達となりマリー・アントワネットにも献上された。グラスに注ぐと薄いイエロー。柑橘の皮・ビスケットのようなイースト香・白い花のミツ・アジアンスパイス・・それなりに各要素が感じられるのだが、控えめであり複雑に絡み合う感じはないため、やや淡泊に感じてしまう。大きくはないが時間と共にまとまりを感じさせる味わい。プレステージとしてはいつも控えめな評価にとどまり、平日夜の軽飲みになってしまった。そんな訳でつい続けて開けたのは

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「シャトー・デュクリュ・ボーカイユ(Chateau Ducru Beaucaillou) 1998年」。ボルドー・サンジュリアン2級、1級に限りなく近いスーパーセカンドと呼ばれる。華やかなゴールドのラベルには、ジロンド河を見下ろす美しきシャトーが描かれている。我が家の定点観測ワインの1つで、フランスで「記念ビンテージのダブルマグナムボトル(3000ml)」を購入して日本に送った事もある程だ。
この「1998年」は5年前にも開けているので、その後の熟成が楽しみだ。カベルネ・ソーヴィニョン70%、メルロー25%、カベルネ・フラン5%。グラスに注ぐと熟れた黒い果実・ブラックベリー・スミレ・・少し火のついた葉巻。そしてタイム・クローブ・メントールなどボルドー左岸らしい涼やかなハーブのニュアンス。それが「デュクリュ・ボーカイユ」らしい洗練されたエレガンスを醸し出す。アタックから十分に熟した果実の甘さと旨味が、

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シルキーなタンニンとまとまりながら中盤にかけて膨らむ。旨味を伴った軽い苦みが余韻に細く長く残る。20年経っているとは思えない若さもあり、妻も「これは状態が良かったね♪」とすこぶる機嫌が良かった。その後平日「ミモザの日(国際女性デー)」に開けたのはミモザ色に輝く?お馴染みキラキラクリアボトルの「ルイ・ロデレール クリスタル ブリュット(Louis Roederer Cristal Brut) 1999年」。
思えば年末に恵比寿「ガストロノミー ジョエル・ロブション(Gastronomie Joel Robuchon)」で「2009年」を飲んだし、家でも「1988年」を開けた。1776年ロシア皇帝アレクサンドル2世専用シャンパーニュとして創業の「ルイ・ロデレール」、当時バカラ製はクリスタルのボトルだったそうだ。優良年にのみ造られるプレステージ・キュヴェ「クリスタル」は、個体差があって当たりはずれはあるが我が家での登場頻度は高い。

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クリスタル専用畑は約60ha強で生産量は30万本程度。ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。72ヶ月熟成でデゴルジュマン後も8ヶ月熟成。グラスに注ぐと微細な泡がグラスの底から間断なく湧き出る。1999年は、1959年以来シャンパーニュ地方が最も暖かい気候となった年。ロバート・パーカーに「これまでに唇に運んだシャンパーニュの中で最もフィネスを感じたものの1つ」と言わしめた。
蜂蜜・蜜柑の皮・レモンピール・熟れた果実・・アタックはしなやかで、柔らかくなったミネラルと穏やかな酸が調和する。若いクリスタルのあの溌剌としたエネルギーが落ち着きスムーズな飲み心地。上品な酸が余韻にも存在感を見せて「クリスタル」らしいエレガントな熟成の飲み口であった。さてホワイトデー直前の休日、「ジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HÉVIN)」の期間限定ケーキ「サフィ」と「ヴィオレット」に合わせ、早い時間から開けたのは

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サイバーブルーのラベルが印象的な「ドン・ペリニヨン(Dom Perignon) 2009年」。昨年「2008年」より先に「2009年」を発売した。ヴィンテージの順番を変えて発売するのは初めて。「2009年」は温暖でリッチな味わいになったため、冷涼な「2008年」より早く最初のプレニチュードが来るからと言う。「ドン・ペリニヨンは瓶熟成の8年・16年・25~30年の3回にわたってプレニチュードに達する」と言う考え方だ。
思えば「ルイ・ロデレール クリスタル」も同様に「2009年」を先に出している。スモーキーでオリエンタルスパイス、白い花。高い酸とまだ硬さの残るミネラルが骨格を作り、その中から果実の熟した甘さとほろ苦さが染み出る。猛暑だった「2003年」に近いおおらかさがあり似ているが、もう少し酸がある。それに続けて夕食時に開けたのは「ルシン・ル・モワンヌ クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ(Lucien Le Moine Clos de Vougeot Grand Cru) 2006年」。

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レバノン出身のムニエ・サウマがロテム夫人と共に1999年に設立したドメーヌ。少量生産のネゴシアンで評価が高い。モンペリエでブドウ栽培と醸造学を修めた後、カリフォルニアやフランス各地で修業し、ブルゴーニュの大手ネゴシアンで醸造責任者を務めた。ブルゴーニュの中でも独特の境地をいくワイン。我が家は市場に出だした頃に試してあまり好みではなく遠ざかっていた。最近評判が良いので久しぶりに試してみる。
グラスに注ぐと鮮やかなルビー、赤い果実を中心とした香りの立ち上り方はかなり控えめだ。1時間すると麝香・中華スパイス・・2時間するとくぐもった動物肉のニュアンスも出てくるが開ききれない。飲み方に工夫がいる気難しいピノ・ノワールだ。シルキーなタンニンが口蓋に膜を残す。シュール・リーの状態で長く樽熟成を行い、澱引き・濾過も行わない。葡萄の質をテクニック(澱)で覆い隠しているという印象もする。飲み続けたいと言う魅力には欠けたが、

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今の流行りと言うのも何となく分かる。ただ我が家的にはやはり苦手であり、妻は「前もダメ押ししたやつじゃない?」と厳しい一言で終った(笑) ワインの好みは夫婦の中でも年月と共に緩やかに変遷はする。それでも大体において第一印象が悪かったものが良くなることは少ない。それが趣向品としてのワインの宿命でもあるし消費者としての楽しさだろう。逆に好みが変遷していく1本と言うのもある。
ホワイトデー・イブに開けたシャンパーニュは、凝ったデザインが印象的な「アンリ・ジロー アルゴンヌ(Henri Giraud Argonne) 2008年」だ。建築家・坂茂氏のデザインの、グレーのウレタンとダンボールで構成された不思議なギフトボックスに入っている。妻は楽しそうに分解していた。ブラックボトルに施された金箔ラベルは、ドイツ人金細工師・ウヴェ・シェファー氏によるもの。加えて「専用オープナー」まで付いていた。

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いつも苦労する、世界ソムリエ大会でソムリエも躊躇させた「金属コルクストッパー」が、これを使うと驚くほど開けやすかった。1625年創業の「アンリ・ジロー」、アイ村のグラン・クリュでシャンパーニュ造りを続け、イギリスやモナコ王室ご用達でも知られる老舗シャンパーニュ・メゾン。ルイ13世統治下で創始者フランソワ・エマールが、アイ村の8haの葡萄畑を手に入れ栽培を開始。
1990年に作り出されたプレステージ「フュ・ド・シェーヌ アイ・グラン・クリュ」は「2000年」まで、その後は複数年ブレンド「フュ・ド・シェーヌ アイ・グラン・クリュ マルチビンテージ(Henri Giraud Ay Grand Cru Fut de Chene Multi Vintage)」に変更された。よって「2002年」からの新プレステージ・シャンパーニュとなったのが「アルゴンヌ」だ。アルゴンヌの森のオーク樽100%で一次発酵後12ヶ月熟成、8年の瓶内熟成を経る。

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以前に「2004年」「2002年」もよく開けている。ドサージュも少なくないし、オークの利かせかたもある意味トゥーマッチだが、そんな飲み口もはまれば魅力の一つだろう。2008年と言えば、降水量が多く糖分豊かで大きな果実に成長し、収穫時には晴天になり果実も熟した状態で収穫できた。ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%。「2008年」は生産量4000本と少ない。
ボトルネックにはナンバリング、側面にはデゴルジュマンは2017年5月17日が刻印されている。グラスに注ぐと濃いゴールドが揺れキラキラと泡が立ち上がっていく。「アルゴンヌ」らしいオークの甘く妖艶な香り。シナモンなどのスパイス・黄桃・シェリー・カラメル・・各要素がかわるがわる顔を見せつつバランスをとる。ふくよかながら洗練された酸が心地よく控えめな苦みを余韻にかけて押し広げてく。ほどよい厚みが果実味を強調して満足感を高める。

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「ジャック・セロス」と共に良く飲んでいる「アンリ・ジロー」であるが、妻は「美味しいけど最近は濃くて疲れるかな~」とあまり飲み進めない。こちらは第一印象が良く長年良く飲んできたが、好みから外れつつある1本と言えるかもしれない。これに合わせたのは、チェリ~からのプレゼントの1つ「ジャン=ポール・エヴァン」のホワイトデー限定商品、スペシャルな「ソリフロール ショコラ」。
ショコラで作られたゴブレと真っ赤な薔薇が豪華で妻の心を鷲掴みだ。薔薇の蓋を開けるとゴブレの中には、ハートをあしらった「ボンボン ショコラ」と「ペルル クラッカントゥ ショコラ」が入っている。「クール トラント ノワール」はフランボワーズビネガーが入ったフランボワーズのキャラメルを、ビターチョコレートでコーティングしている。そして「クール トラント レ」は3種の柑橘(ユズ・マンダリン・ライム)にカイエンヌペッパーを加えたキャラメルを

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ミルクチョコレートでコーティングしている。シリアルのビスキュイをショコラでコーティングした大好物の「ペルル クラッカントゥ ショコラ」は、スプーンでザクザク食ベつつワインと合わせるのが定番だ。加えてこれもチェリ~からの、スペイン「ブボ バロセロナ(bubo BARCELONA)」期間限定ロリポップ・ギモーブ。真っ赤なロゴ入りチョコレートでコーティングしたハート型マシュマロ「チョコギモーヴ レッドハート」だ。
フワフワのとける甘さがお気に入り。そんな訳で、バレンタインからホワイトデーまでの家飲みワインをピックアップして来たが、肝心のホワイトデーと言えばこちら。パリ3ツ星シェフ アラン・パッサール(Alain Passard)氏が来日し、「帝国ホテル東京 レ・セゾン(Les Saisons)」では2000年以来18年ぶりと言う特別なディナーイベントが行われる。よってそちらに出向き楽しく豪華なホワイトデーデートと相成ったのだった(笑)続く・・「アラン・パッサールとティエリー・ヴォワザンの華麗なる饗宴(前編)(ロマネ・コンティの後編)」

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