連日日本列島に強烈な寒気が訪れ、南国福岡でも雪が散らつく真冬。こうなるとなかなか外出も億劫、暖かな自宅で家族と好きなワインをあれこれ開けて楽しむ日も増える。そこで今年に入って日常楽しんだ我が家での冬ワインをザッと挙げておこう。年越しは「ボランジェ ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ(Bollinger Vieilles Vignes Francaises) 2006年」「シャトー・マルゴー(Chateau Margaux)2003年」、
元旦は「DRC ラ・ターシュ(Domaine de la Romanee Conti La Tache) 1999年」と当たりが続いたため、妻も「今年はワインの流れが良さそうね♪」と機嫌よいスタートで何より。その後連休中だらだら飲みで開けたのは、まず「ピエール・カロ・エ・フィス クロ・ジャカン ブリュット アヴィズ グラン・クリュ(Pierre Callot et Fils Clos Jacquin Brut Avize Grand Cru)」。コート・デ・ブランのアヴィーズ村に1784年から拠点を置く「ピエール・カロ」。

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「ジャック・セロス」並び称せられるブラン・ド・ブランの造り手だ。ランス大学で醸造学を学んだ後、ボルドーや「テタンジェ」「ヴランケン」などで学んだティエリー・カロ氏。クラマンやシュイイなど計7.25haの所有畑、葡萄の3分の1を「ボランジェ」に提供している(別にボランジェ所有の0.6haも任されている)。そしてこの単一畑「クロ・ジャカン」はわずか0.07ha。
1975年植シャルドネ100%、年産700本のみだ。ピエール・カロの総生産は4万本で、輸出されるのは極少ない。自社専用葡萄は5ha、リュット・レゾネ、土はすき起しや手積み収穫など全て手作業。グラスは「リーデル(RIEDEL)」の新作でオンライン限定「ブラック シリーズ レッド シャンパーニュ(Black Series Red Sparkling Wine)」。シャープなシルエットで赤いステムに黒い台座がドラマディックな、シャンパーニュの泡立ちを舌で感じる様に造られた物だ。

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グラスに注ぐと、グレープフルーツの皮・キノコ・蜜リンゴ・白コショウ・・ややオイリーなニュアンスもある。溌剌とした酸が口中を刺激し、軽く爽やかなミネラリーなフィニッシュ。アヴィーズのブラン・ド・ブランらしい飲み口だ。ただ前回飲んだ時の印象よりも厚みがなく中心部の果実味が薄い印象。それでも1時間経ち、アルザスのリースリング用グラスに替えた頃からようやく本領を発揮し始める。
独特の旨味を伴ったマーマレード・黄桃のような香味が複雑に広がり始め、ミネラルとのバランスが取れて来た。合わせたデザートは定番「ジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HÉVIN)」のお気に入り「ショコラ フランボワーズ アントルメ」3596円。甘酸っぱいフランボワーズのジュレとビターチョコが良く合う。それに続けて開けた赤ワインはブルゴーニュ「ポンソ グリオット・シャンベルタン グラン・クリュ(Ponsot Griotte-Chambertin Grand Cru) 2001年」

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モレ・サン・ドニに1872年設立の老舗名門「ポンソ」。1934年にはブルゴーニュでドメーヌ元詰めを開始した先駆者だ。自然栽培で、コルドン・ド・ロワイヤ(剪定)、手摘み、畑による選果。4層構造のグラヴィティ・フロー。発酵時の古木桶を使用し、熟成用も古小樽、亜硫酸は極力抑える。「クロ・ド・ラ・ロッシュ」「クロ・サン・ドニ」「モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ クロ・デ・モン・リュイザン・ブラン」を中心に、
近年「シャルム・シャンベルタン」「クロ・ド・ヴージョ」「コルトン・シャルルマーニュ」「コルトン・ブレッサンド」「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」など増やしてきた。今では11ha中7haをがグラン・クリュ7銘柄で「クロ・ド・ラ・ロッシュ」の最大生産者だ。1954年生まれのローラン・ポンソ(Laurent Ponsot)が1990年から当主を務め評判を高めていたが、2017年息子と共にドメーヌを去りネゴシアンを立ち上げると発表して驚かせた。

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先日「シャペル シャンベルタン グラン・クリュ(Ponsot Chapelle-Chambertin Grand Cru) 1999年」を開けたばかりで「グリオット・シャンベルタン 2001」はもう少し寝かせておくつもりだったのだが、ついこちらも開けてしまった。赤いい果実にスパイシーなニュアンスが絡んでくる。スムーズな飲み口ながら凝縮した果実の旨味が中盤から余韻にかけて広がる。チャーミングでいて飲みごたえのある艶やかな余韻は長い。
そしてこれと一緒に楽しんだチョコレートはイタリア老舗「カファレル(Caffarel)」の基本で甘い「ジャンドゥーヤ」や「トリネージ」など。ちなみにこの夜使ったソムリエナイフは「シャトーラギオール SAKURA」。ハンドル部分に日本の桜木を使用した「シャトーラギオール20周年記念」特別モデルだ。2013年東京で行われた「第14回世界優秀ソムリエコンクール」時、最優秀ソムリエ(スイス代表パオロ・バッソ氏)への優勝賞品として作られたもの(世界2013本販売)。

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更に続いて開けたのは「クリュッグ ブリュット・ミレジム(KRUG Brut Millesime) 1989年」。熟成したシャンパーニュとしては「ドン・ペリニヨン」「クリスタル」「クリュッグ」は別格の味わいだ。この「1989年」は深く濃い雰囲気のあるゴールドが期待を膨らませてくれる。モカ・カフェオレ・白トリュフ・・トロリとした蜜のようなニュアンスも。アタックには優しくも確かな旨味があり、そこから気品のある酸が押し出しくる。
エレガントで繊細な余韻は長く、ジンジャーのニュアンスがアクセントに残った。続いてこの夜は昨年発売されたばかりの「クリュッグ ブリュット・ミレジム(KRUG Brut Millesime) 2004年」。クリュッグ3部作「1988年/1989年/1990年」に続く第2弾としての「2002年/2003年/2004年」と言う位置づけ。以前「1998年」を「レストラン スーリール」で、「2002年」をホテル日航福岡「レ・セレブリテ」で、

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「2003年」は自宅で開けている。2004年は身の引き締まるような寒さの冬と肌寒い春でシャンパーニュ地方で稀に見る低気温が続いた。そのため「辛抱の年」とも称されたが5月に入ると温暖な気候となり、晩夏には明るい日差しを受け葡萄が完璧な状態に熟し始めたと言う。ピノノワール37%・シャルドネ39%・ピノムニエ24%。グラスに注ぐと、クリーミーな泡から持続性の強い細かい泡が立ち上る。
クリュッグらしい高い酸を感じさせる柑橘系と洋梨のバランス良く配置されたアロマ。飲み進めるうちに蜜・生姜・微かにオイリーなニュアンスも。まだ完全には統合していないとは言え、完成度の高いフィニッシュは洗練されている。エレガントな酸とミネラルがとバランス良い果実味を心地よく包み込んでいる。太陽のヴィンテージ「2003年」は、早くも黄桃・果実のコンポート的なニュアンスが出ていたが、「2004年」はクリュッグが自ら「きらめく爽やかさ」と名付けるのが分かる味わいであった。

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そして次に開けたのは「ブルーノ・パイヤール ネック・プリュ・ウルトラ(Bruno Paillard Nec-Plus-Ultra) 1996年」。「ブルーノ・パイヤール」のプレステージシャンパーニュだ。1704年から葡萄の仲買と栽培を営んでいたパイヤール家。跡を継いだブルーノ氏が一念発起で27歳時(1981年)に創立したのが「ブルーノ・パイヤール」だ。戦後誕生した唯一のシャンパンメゾンで新興とは言え、
数年前までは世界全店「ジョエル・ロブション」のハウスワインとしても知られるなど、その品質には定評がある。実際その当時「1995年」「1996年」を「ジョエル・ロブション来日ガラディナー」で開けた。その他最近では他店で「1999年」「1990年」を開けている。デゴルジュマン後18ヶ月自分たちのセラーで時を経て出荷する。しかもこの「1996年」は日本に60本のみ輸出という貴重なものだ。グラスに注ぐと超微細な泡が微かに見える。

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深いゴールドはいかにも厚みを感じさせる。デゴルジュマンは2009年1月と言う事もあり、かなり落ち着いた味わいで満足感が高い。数年前に飲んだ同ヴィンテージよりも丸みが出て調和が進んでいる。ジンジャー・ミツ・トリュフ・・しっとりと深みある良く出来たアップルパイ。高い酸がすべらかなミネラルの中を切れ上がるのは、いかにも「1996年」ヴィンテージらしい。妻も「久しぶりに美味しい♪」とご満悦の様子であった。
シャンパーニュも古酒が進めば進むほど、その由来(メゾンの特徴や良さ)が分からなくなりがち。その意味で我が家はシャンパーニュも20年から25年程度が好きなようだ。ちなみに合わせたチョコレートはお馴染み「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)」の定番「オランジェット」2700円や「トリュフ プレーン」3618円、そしてシャンパンの泡をイメージした「エフェルヴェソンス」5832円。

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シャンパンのロゼとブリュットを使った2種類のガナッシュで、ほんのり酸味と苦みが正にシャンパンの為のショコラと言った味わいだった。更に数日後開けたのは「シャトー・アンジェリス(Chateau Angelus) 1996年」。ボルドー・右岸のサン・テミリオンでは我が家のお気に入りの1本。シャトー名は3つのカトリック教会の鐘の音が聞こえた事によるもので、華やかな黄色いラベルには「祈りの鐘」が描かれている。
10年に一度格付け変更されるサン・テミリオンで、「アンジェリス」は1996年にプルミエ・グラン・クリュクラッセに昇格した。これはその記念すべき「1996年」ヴィンテージで、数本購入して開けるのは3本目となる。そして1996年からエマニュエル・ダリニー=フルチ(Emmanuelle d’Aligny-Fulchi)女史が醸造長になり、カベルネ・フランも65%に増やしている。その他ヴィンテージを思い出せば、パリの3ツ星「ル・サンク(Four Seasons Hotel George V Paris LE CINQ)」で、

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エリック・ブリファー(Eric Briffard)のスペシャリテ「ピチヴィエ」に合わせた「2000年」。マンダリンオリエンタル東京「シグネチャー」で開けた「2007年」。博多フレンチで開けた、「アンジェリス」が樽熟成を始めた翌年の「1986年」。2年前は「レストランひらまつ博多」で「2001年」を開けた。ちなみに「アンジェリス」が映画007に登場する事は良く知られているが、
「カジノ・ロワイヤル」では「1982年」が、「スペクター」では「2015年」が開けられていた。と言う訳でこの夜の「1996年」は、グラスから果実の甘い香りがフワーと広がり、スパイシーさ、枯葉と腐葉土の中間的な熟成香も感じる。ふんわりと柔らかいボリューム感が、気持ちを優しく包み込んでくれるようだ。カベルネ・フランが65%に達する特徴かもしれない。シルキーで流れるようでありつつ、構造はしっかりしているしメリハリもある。

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余韻がややあっさり短いため軽い印象はあるが、全体的な満足感は高い。久しぶりに開けたこの1本もゆっくりと最後まで楽しめた。そしてこれに合わせたのは、チョコレート文化発祥の地とスペインが誇る「カカオ サンパカ(CACAO SAMPAKA)」の「カカオの旅9ヶ国コレクション」3996円。9ヶ国ものカカオ産地の香りや味わいを楽しめる日本限定ボンボンチョコレートだ。
さてさて、次に開けたのは「ダヴィッド・レクラパール ラストル ブラン・ド・ノワール(David Leclapart L’Astre Blanc de Noirs Premier Cru Extra Brut)」。モンターニュ・ド・ランスのトレパイユ村3haから秀逸なワインを作り出すレコルタン・マニュピュラン。ブラン・ド・ブラン「ラルティスト(芸術家)」は良く知られていて、「アポートル(使徒)」は先日も開けたが、この「ブラン・ド・ノワール」は2010年に生まれた新たなキュヴェだ。

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裏ラベルに「L.V10」とあるのは2010年の葡萄であることを意味する。厳しい気候だった2010年に、収穫を早めるもマセラシオンに耐えられるピノ・ノワールではないと判断し、「ラルシミスト・ロゼ」に使われていた4区画の葡萄房ごとプレス機にかけ「ブラン・ド・ノワール」に急きょ変更した。実はこの年限定の予定だったが、余りに出来が良かったのでその後も生産したとの事(年間生産2000本)。
ボトルを通じてオレンジかかった色調も印象的、泡はすっかり溶け込んでいる。ノンドサージュ。シャープでいて、しかしまろやかな口あたり(マロラティック発酵あり)。ただしコルクにも感じたシェリー様の濃いブーケに支配されている。ブショネではないが健全な熟成ではない・・液面がやや低かったのでコンディションが悪かったか。残念ながら本領は発揮できずに終わった。このような少量生産の自然派は、ボトル事の当たりはずれも含めて楽しむもの、と割り切るしかないだろう。

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この夜合わせたショコラはお馴染み「ピエール・エルメ・パリ(PIERRE HERMÉ PARIS)」のバレンタイン、大丸・松坂屋限定「トリュフ アソリュティマン」。真ん中のゴールドは大きく食べ応えあった。さて気が付けば2月に入り、寒い中の出張も多く移動には体力も使う。夜疲れて帰宅して癒しを求めるは「ドニ・モルテ クロ・ド・ヴージョ(Denis Mortet Clos de Vougeot Grand Cru) 2008年」。
こちらもセラーで見つけてつい開ける。1991年からワイン造りにかかわったドニ・モルテは、アンリ・ジャイエ(Henri Jayer)から指導を受け、葡萄は手摘みで100%除梗する。2006年に自ら命を絶つまでに名声を確固たるものにした。その後息子アルノー・モルテ(1981年生)とその母ローランスが跡を継ぎ、2006年産よりラベルには「vinifie par Arnaud Morte」と入れた。アルノーは「メオ・カミュゼ」や「ルフレーヴ」で研修している事もあり、

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穏やかな抽出でよりエレガントなワインを作り評価が高い。ラズベリー・ブラックベリーのジャム・赤身肉・樽の微かな甘いニュアンス・・・・様々な要素が複雑さを増す。基本的に完全除梗で後はヴィンテージによって微妙に変化させる。2008は熟した茎の爽やかさを感じる。この「クロ・ド・ヴージョ」はわずか0.6ha。畑も下部に位置して粘土と泥質の土壌と恵まれていない。
ブラインドではプルミエ・クリュ?と一瞬思うのは畑の立地のせいかもしれない。それでも1時間もすると美しいブルゴーニュに感じるあの透き通ったようなアロマが溢れ出し、シルキーでのど越しの良い余韻を構成する。穏やかな抽出がエレガントさを引き出している。たっぷりした酸味も美しく、これから時間をかけて熟成していきそうだ。最後までドニ・モルテらしい美しい味わいを楽しめた。これに合わせたのはこの日羽田空港第一ターミナルで買ってきた

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ラデュレ(LADUREE)」のバレンタイン限定「コフレ・ロマンス」4個入1860円。ローズ・フランボワーズ・ピスタッシュ・アールグレイの4種ボンボンショコラが入ってピンクのチャームバンドで締めてある。そしてキラキラのバレンタイン限定マカロンボックスに入った「シャイニー・バレンタイン」2740円。中には季節限定味のマカロンに加えて、ピンクハートの限定マカロン「クール・テ・ジョゼフィーヌ」も入っている。
2つのハート型マカロンに挟まれているのは、オリジナルブレンドティー「テ・ジョゼフィーヌ」のアンフュージョンを加えたチョコレートガナッシュだ。妻は何よりキラキラボックスが気に入った様(笑) 来週はいよいよバレンタイン。レストランでのデートとは別に、家飲みでもやはりバレンタインテーマは必須だ、今年も当然ながら妻の好きなワインを選ぶ事にしよう。続く・・