ホリデーシーズンを前に街はイルミネーションで輝き多くの人で賑やかな週末の夜。「ルイ・ヴィトン表参道店」で「ルイ・ヴィトン 2018クルーズ・コレクション(LOUIS VUITTON Cruise Collection 2018)」トランクショーを楽しんだ後、車を走らせたのは恵比寿ガーデンプレイス。目指すは我が家お馴染みシャトーレストラン、11年連続ミシュラン3ツ星「ガストロノミー ジョエル・ロブション(Gastronomie Joel Robuchon)」だ。
夏にも訪れた。美しくライトアップされた城の前には、今年恵比寿ガーデンプレイス初と言うスケートイベント「ヱビスガーデンリンク(YEBISU GARDEN RINK)」も造られている。実は氷ではなく特殊な樹脂製パネルを敷設してつくるスケートリンク。濡れなくて済むと言う訳だ。滑走する人の動きに合わせて光と映像が変化する。そんなリンクから遠くまで続く総数約10万球の光道には、優美な巨大バカラシャンデリアや高さ10mのクリスマスツリーも輝いているのが見える。

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少し巨大バカラシャンデリアを眺めてから城に入ると、いつもの様にサッとスタッフ達に出迎えられる。階段下に設置された大きなクリスマスツリーからひょこり登場した渡辺敏伸総支配人が、エレベーターで2階黄金のダイニングまで案内してくれる。相変わらずノリの良い渡辺総支配人に妻も楽しそうだ。ダイニングの天井真ん中にも豪華バカラシャンデリアが輝き降り注ぐ。
そして我が家担当、妻のお気に入り村林篤メートル・ド・テルが笑顔で迎え、奥の席に案内してくれる。金壁の装飾鏡や各テーブルのバカラのキャンドルスタンド、散りばめられたクリスタルに白い薔薇・・妻は椅子に腰かけながら「は~やっぱりここが一番落ち着く♪」といつもの景色に満足そうだ。実はこの日村林メートル・ド・テルお休みの日だったのだが、わざわざ我が家の為に出勤してくれていたのだった。さてまずはシャンパーニュで乾杯といこう。

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この夜のワイン担当は、ボルドーなどで修業経験もある八代愛美ソムリエールだ。いつもの事だが、ロブションのハウスシャンパン「ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット(Veuve Clicquot Ponsardin Yellow Label Brut)」以外からグラスで2種のシャンパーニュをお願いする。そこへやって来たのは今年入店したサハビィ・ムスタファ(Sahbi Mustapha)メートル・ド・テル。
両親がモロッコ人とフランス人だそうだがイタリア人の様な軽快賑やかトーク(前職「マリオ・イ・センティエリ」)。日本語・フランス語・アラビア語・イタリア語・英語と5ヶ国語を操る。まずは「ルイ・ロデレール クリスタル ブリュット(Louis Roederer Cristal Brut) 2009年」を頂きながらそんな彼と歓談。1776年創業の「ルイ・ロデレール」、優良年にのみ造られるプレステージ・キュヴェの「クリスタル」は、個体差があって当たりはずれはあるが我が家での登場頻度は高い。

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つい先日ちょうどこの「2009年」を自宅で開けたばかりだ。先月には同「1988年」を、その前月は同「1993年」を開けた。クリスタル専用畑は約60ha強で生産量は30万本程度、6年熟成させデゴルマンジュ後も8ヶ月間安置させる。ロブションで頂く「2009年」はグラスの底から立ち上る黄金の美しい泡。フレッシュな果実味・ライム・イースト・・
ドサージュの甘さも癒しだ。まだ全体的に統合してないが、酸の骨格が全体の味わいを一つにまとめ上げる様は流石の味わい。時間が経つと微かに蜜のニュアンスも出てきてバランスが取れてきた。そんな美味しい乾杯の中へいきなり登場したのは、シャープで若いフランス人青年!?彼こそがロブション城の新総料理長ミカエル・ミカエリディス(Michael Michaelidis)氏だ。妻が「キャ~イケメン♪」と歓声をあげる(笑)

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10月いっぱいで18年統括して来たアラン・ヴェルゼロリ(Alain Verzeroli)総料理長が退任し、11月から総料理長(ディレクトゥール・キュイジーヌ)に就任したばかりのミカエルシェフ、今夜は彼の料理を堪能できると言うので妻も大喜びである。ちなみにアランシェフはニューヨークに出店予定の「ガストロノミー ジョエル・ロブション」料理長に就任予定という事。ミカエルシェフは2014年から
シンガポールの「ジョエル・ロブション(Joel Robuchon Restaurant)」と「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション(L’Atelier de Joel Robuchon)」のエグゼクティブ・シェフを勤めてきた。2016年に初刊行されたミシュランガイド・シンガポールで、「ジョエル・ロブション」として3ツ星、「ラトリエ・ド・ジョエル・ロブション」として2ツ星、合計5ツ星を獲得。2017年でも5ツ星を維持した上、11月からは

Joel Robuchon Sahbi Mustapha/Michael Michaelidis

東京「シャトーレストラン ジョエル・ロブション(ガストロノミー ジョエル・ロブションラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション)」の総料理長に就任した。ちなみに「ミシュランガイド・シンガポール 2017」で3ツ星は「ジョエル・ロブション」1店舗のみ。2ツ星は7店舗で「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」以外には、オーストラリア「Tetsuya’s」和久田哲也シェフがシンガポールに出している「Waku Gin」なども入った。
そんなミカエルシェフは35歳、素敵な笑顔を絶やさずも自信に満ちあふれた様子が客にも伝わって来る。厨房でもとにかく精力的で、サービススタッフとのコミニュケーションも豊富だそう。南仏コート・ダジュールのカンヌ出身の彼は、叔母がレストラン経営していた事から料理に興味を覚え、15歳から料理の世界に入った。モナコの3ツ星「ル・ルイ・キャーンズ(Le Louis XV)」、香港の2ツ星「スプーン・バイ・アラン・デュカス(SPOON by Alain Ducasse)」でも経験を積んだ後、

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2011年からロブショングループに参画、2012年に香港「ラトリエ ド ジョエル・ロブション」に入った。シンガポールで2年連続「5ツ星」を維持するなどロブション氏からの信頼も厚く、今回の抜擢に繋がった。母国語のフランス語だけでなく英語・ギリシャ語・オランダ語も堪能だ。興奮した様子を隠せない妻の「じゃ今夜はミカエルシェフの得意な料理をズラッと出して!スペシャリテね♪」と言うワガママにも、
ミカエルシェフは笑顔で「もちろんOKです」と引き取ってくれた。そこへ運ばれたパンワゴン、いつもとやや様子が違う。種類も変わったが何よりパンのサイズが小さく一口大になっている。ミカエルシェフの要望でサイズを小さくし、シンプルに料理の邪魔にならないラインナップにしたと言う。余り色んな味付けはせず香ばしく焼き上げた。人気だったアンチョビ入りクロワッサンもプレーンクロワッサンにするなど、前アラン総料理長の流儀を踏襲しつつ、

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少しずつ自分の考えをサービススタッフの意見も聞き入れ変化させている。栗・カボチャ・グルテンフリー(米粉)パンなど、新作と季節物をいくつか温めてもらう。食べやすく気が付けばいつもより頂いていた。さてまずはアミューズ、もうすっかり定番だろう「香ばしく仕立てた手長海老のゴーフルとともに」が運ばれてきた。ガラス皿には紅葉も添えて季節感を演出する。手でカジュアルに頂く手長海老の温かいワッフルは、
ホワイトソースとチーズが絶妙に香り立つ。続く前菜一皿目はロブション・スペシャリテ「キャビア 甲殻類のジュレ」の進化版。レイノーとアンヌ・ソフィー=ピックとのコラボ皿「ルナ(Raynaud Lunes by Anne-Sophie Pic)」で登場する。蓋にはロブションらしいゴールドのオリジナル装飾を施している。金箔が輝く円形にビッシリ盛られたキャビア、そしてその周りに100個近くのこのポツポツ・・・これは以前「ロブション来日ガラディナー」で頂いた。

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それにミカエルシェフが自ら「アルバ産白トリュフ」をふんだんに削ってくれる。スタッフ達も「このプレートに白トリュフを掛けるのは初めて見ます」とびっくりしている。皿一面に敷かれた濃厚なコンソメのジュレは、甲殻類の香りが口の中いっぱいに広がり、やがてキャビアの塩気と贅沢感と一体になる。それをパセリのソースの乗ったカリフラワーの優しいクリームがまとめ上げる。
更に甲殻類の濃厚な旨味に白トリュフの妖艶な香りがまとわり付き、何とも官能的だ。「今までこのプレートに白トリュフを合わせる事はなかったのですが、これもミカエルのアレンジです」とムスタファ メートル・ドテル。「とにかくミカエルは積極的で、お客さんの為に全てを尽くす姿勢に溢れている」と言う話だった。余韻がとてつもなく長いプレートに、八代ソムリエールが合わせてくれた2杯目のシャンパーニュは

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「ジャック・セロス リュー・ディ メニル・シュール・アイ スー・ル・モン エクストラ・ブリュット(Jacques Selosse Premier Cru Extra Brut Mareul-sur-Ay Sous le Mont)」。1949年アヴィーズで創業した「ジャック・セロス」はコアなファンを持つレコルタン・マニピュラン。2代目アンセルム・セロス(Ancelme Selosse)氏によるシャンパーニュ6つの単一畑の個性を表現する「リュー・ディ」シリーズ。
我が家も楽しむ機会が多く、この酸化熟成した独特の味わいは単独でも美味であるが、ロブションのような深みある旨味とは絶妙に調和する。「アンボネイ ル・ブー・デュ・クロ(Ambonnay Le Bout du Clos)」「ル・メニル・シュール・オジェ レ・キャレル(Le Mesnil-sur-Oger Les Carelles)」「クラマン シュマン・ド・シャロン(Cramant Chemin de chalons)」「アヴィーズ レ・シャントレンヌ(Avize Les Chantereine)」「アイ ラ・コート・ファロン(Ay La Cote Faron)」、

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そしてこれが2005年初収穫の「マイユ・シュール・アイ スー・ル・モン(Mareul-sur-Ay Sous le Mon)」。昨年「オーグードゥジュール・メルヴェイユ 博多」でも開けている。以前こちらでは信国武洋エグゼクティブ・ソムリエに「アイ ラ・コート・ファロン」をグラスで出して貰った記憶がある。この「スー・ル・モン」はメニル・シュール・アイの東向き面(斜度15%)にある
単一畑スー・ル・モン(0.4ha)で収穫されたピノ・ノワール100%使用のブラン・ド・ノワールだ。瓶内熟成期間6年。グラスに注がれるとセロスらしい樽香に熟した果実の甘い香りが広がる。洋梨・ナッツ・・余韻の長いピノ・ノワールに料理がハーモーを奏でる。ドサージュはゼロなので、さっぱりとした苦みも味わえる。とディナーはまだ始まったばかりだが、ミカエルシェフの話で随分盛りがって長くなってしまったので今回はここまで。次回に続く・・