アメリカ「スターウッド ホテル&リゾート ワールドワイド」と言えば、世界約100ヶ国に「セントレジス」「ウェスティン」「シェラトン」など10ブランド1200軒以上を展開する大ホテルチェーン。2年前そんなスターウッドの身売り話でアメリカが騒ぎになった。当時時価総額は126億ドル、同米の大型ホテルグループ「ハイアット・ホテルズ」などが中国企業買収阻止の交渉に入ったりした。
結果は同米「マリオット・インターナショナル」が136億ドルで買収に成功。これで「ウォルドフ・アストリア ニューヨーク」の二の舞は避けられた。昨年末のマリオットとスターウッドの正式合併により、ラグジュアリーホテルのカテゴリーも全8ブランド「ザ・リッツ・カールトン」「ザ・リッツ・カールトン・リザーブ」「セントレジス」「ブルガリ」「W」「エディション」「ラグジュアリーコレクション」「JWマリオット」と豪華ラインナップに。

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フランチャイズを含めると世界110カ国で30ブランド、ホテル5800軒113万室を展開、世界最大のホテルチェーンになったわ。今後は新たに20カ国への進出を計画し180軒の開業を準備しているそう。ホテル収益に会員プログラムの利益貢献は欠かせないが(数%の最上級会員が利益4割と言う所もある)、昨年秋からはマリオットとスターウッドの会員資格のステータスレベルマッチも早速開始、ポイント移動による特典利用も可能になっている。
来年までは「ザ・リッツ・カールトン・リワード」を含む3つのロイヤルティプログラムは個別で継続との事。そんな統合作業もだいぶ落ち着いたと思われる先日、スターウッド最高ブランド「セントレジスホテル」、日本では唯一の「セントレジス大阪(The St. Regis OSAKA)」に主人が一人でステイして来たよ。大阪・梅田にはマリオット最高ブランド「ザ・リッツ・カールトン大阪(The Ritz-Carlton Osaka)」もあるので、この統合の件は興味深い。

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思えば「セントレジス」が日本に初上陸すると聞いたのは12年以上前。東京・汐留にできるはずだったが頓挫し、予定地には「コンラッド東京」が入った。そして7年前に大阪・本町ガーデンシティ内に改めて登場する事になった「セントレジス大阪」。実はヒルトングループ最高ブランド「コンラッド」は、このタイミングで明後日6月9日に大阪・中之島フェスティバルタワーウエストの33~40階に
「コンラッド大阪(CONRAD OSAKA)」をオープンさせるのだから因縁深い(総客室164)。今回宿泊した「セントレジス大阪」は御堂筋と本町通の交差点にあり、大阪を代表するビジネス街(秀吉大阪城下町)のど真ん中ながら古い商店街などもある不思議な場所。こじんまりした車付けには豪華な制服のドアマンが待機し、細かく誘導案内してくれる。1階エントランスには煌びやかな「梅の木」のクリスタルオブジェが出迎えるわ(1・2階にはフレンチビストロ「ル ドール」がある)。

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ホテルフロントは12階、エレベータ扉が開くと一気に視界が広がる。天井高のロビーには大型絵画や調度品が豪華。向こうに見える広いテラスは、能の舞台をモチーフにしたと言う「枯山水の日本庭園」。周囲に高層ビルがないので見晴らしも良く広がる空が印象的よ。都会地上50mに浮かぶそんな空中庭園では期間限定で「セント レジス シャンパン&ビアガーデン」を開催中。
今年は、ニューヨークNo.1クラフトビール「ブルックリン・ブリュワリー」やカンヌ国際映画祭公式シャンパン「パイパー・エドシック」がメインとか。そして、廊下奥に進むと突き当たりに「セントレジス バー(St.Regis Bar)」がある。ネイビーの絨毯とソファ、見上げれば金箔天井、カウンター背景に大きな金の浮世風絵画(大阪観光名所)が迫力。これはシックにアレンジした秀吉の世界観?!夜は闇の中に金が浮かび上がりとても美しいの。

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庭園もライトアップされるわ。そうだ、ここには伝説のカクテル「ブラッディマリー」がある。「ブラッディマリー」は1934年セントレジス・ニューヨーク「キングコールバー」で誕生したもの。世界中のセントレジスでそのオリジナルレシピが味わえるが、際どいネーミングなので今は「レッドスナップ」と変更されている(そう言い直される)。ちなみにここ「セントレジス大阪」では、
ゆずやわさびを使った「ショーグン マリー」が代表オリジナルとの事。若い頃はロングカクテルと言えば「ブラッディマリー」ばかりだったが(NYでも飲んでいた)、本物レシピはかなりイメージが違った。トマトジュースとウォッカベースだがかなりスパイシーで重たい、量もかなりあるわ。では話を戻して「セントレジス バー」の隣にはイタリアン「ラ ベデュータ」があり(森田恭道氏デザイン)、入り口に大きなガラス張りのワインセラーが見える。

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宿泊者専用エレバーターに乗ると、ビリー・ホリデーやデューク・エリントンなど1930年代のジャズが流れて大人の雰囲気。そう「セントレジス」は1904年ニューヨーク5thアベニュー創業、113年目を迎えた老舗(2013年に大規模リニューアル済)。世界のセレブ御用達、古き良き華やかなアメリカの社交界を彷彿させるわ。客室は17階から27階まで全160室(スイートルームは12室)のスモールラグジュアリー。
空間デザインを担当したのは「パレスホテル東京」と「コンラッド東京」同様、イギリス拠点のオーストラリア人テリー・マクギニティ(Terry McGinnity/GAデザインインターナショナル)氏。彼の作品はオリエンタルな和モダンの世界。こちらのコンセプトは「桃山時代」と言うし、大阪的でまた違ったテイスト。海外からの客が8割、欧米からの人も多いとの事なので、この黄金基調のオリエンタルさは良いかもしれない。

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そして「セントレジス」のウリは何と言っても英国スタイルの「バトラーサービス」。トレーニングを受けたバトラーが24時間対応で要望に応える。とは言えコンシュルジュ・プレス・シューシャインなどは、バトラーでなくともどこのホテルでもあるが、加えてこちらは部屋でのウェルカムドリンクサービスやパッキング、所謂買い出しなどもしてくれる。そう言う訳で?!「ミシュランガイド京都・大阪2017」では、
6年連続5パビリオン・2年連続5レッドパビリオン(大阪のホテルで唯一)を獲得。今年も大阪のホテルで最高評価と言う事になったよ。夫婦で宿泊する際はいつも「エグゼクティブスイート 椿(102m2)」なんだけど、今回は主人のビジネス一人泊りと言う事で選んだのは「グランドデラックススイート(87m2)」。とここまで私がホテルの説明書いちゃったので、もうついでに多忙な主人の代わりに「ビジネス男一人宿泊記」を続けよう(笑)

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部屋に入ると、広く横長のリビングルームでグレーベージュが落ち着いた和モダンの空間。窓の外には大阪の街並みから遠く六甲山までを見渡せるよ。古代紫色のソファセット、黒漆風のダイニングテーブルもある。目立つ黒漆金扉のチェストを開けると、青LEDが光る冷蔵庫とミニバー、ネスプレッソマシン。照明やエアコンなどもカーテン同様青LEDが光るタッチパネル、これは大阪っぽい。
ダイニングテーブル上にはウェルカムスイーツのたねや名物「ふくみ天平」、最中種と餡を別々に包装した最中で、しかもこれは珍しい黒ごまバージョンね。奥に続くベッドルームからも同様、空と相まってとても素晴らしい眺望。ベッドは高さあるフカフカ系のキングサイズ。京都・川島織物のシルクをベースに、ヘッドボードのオブジェがエキゾチック。ベッドの横には書斎スペースもあって、ビジネス泊りにはシックでピッタリの空間。

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ベッドルームの後ろに「バスルーム」、隣に「クローゼットルーム」となるわ。バスルームは広くはないが黒とベージュのフランス産大理石で重厚感ある。Wベイシンで多機能シャワーブースもありバスタブも深い。そしてバスアメニティは今回も「ルメードゥ(Laboratoire Remède)」が置いてあった。世界のセントレジスにある「ルメードゥ・スパ(Remède Spa)」。
大阪には14階にエステサロン「イリディウム フィーチャリング ソティス」のみだから貴重よ。と言う訳で一人宿泊には十分な環境、仕事を終えて部屋に戻ったのはもう22時を過ぎていた。接待で連れて行かれた食事も美味しく頂いたようだが、やはりワインを飲まないと一日が終わらない主人。いつもの様に私と長電話しつつルームサービス(ナイトセレクション 22:30~6:30)を楽しむよ。以下は主人のメモから。

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まずはシャンパン「クリュッグ グランド・キュヴェ(Krug Grande Cuvee)」ハーフ。どこのホテルにも基本ある定番「クリュッグ」、グラスに注ぐと美しい輝くゴールドに勢いよく泡が立ち上る。洋梨のコンポート・蜜りんご・ブリオッシュ・・キレの良い酸味が丸いミネラル感と統合している。「クリュッグ」ハーフボトルは出回る量が多いだけに当たり外れを感じるが、こちらはきちんとした保存状態。
微かな酸化のニュアンスもあくまでアクセントにとどまり、エレガントで精緻なバランスは最後まで崩れなかった。いつもの様に「クリュッグID」を検索するとデゴルジュマンは2013年秋、最も古いベースワインは「1990年」、最も若いベースワインは「2007年」で183種類のワインをブレンドしているとの事。ピノ・ノワール37%、シャルドネ32%、ピノ・ムニエ31%。そして赤ワインもお願いした。

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「シャトー・トロロン・モンド(Chateau Troplong Mondot)」。メニューにはヴィンテージが入ってなかったが、運ばれて来たのは「1999年」。若いヴィンテージを覚悟して注文していたので、意外と年数経っていたので喜ぶ(笑) ボルドー右岸・サンテミリオン、2006年の格付け見直しでプルミエ・グラン・クリュ・クラッセBに昇格した(ちなみに2012年の格付け見直しではB表記はなくなり、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)。
「1999年」はミシェル・ローラン(Michel Rolland)からジャン=フィリップ・フォール(Jean-Philippe Fort)にコンサルタントが切り替わった端境期の年になる。黒い果実・動物の皮・・潰して薄く伸ばしてようなスパイス。香りは時間と共に落ち着いてくる。1時間もするとスミレとハーブが微かに混ざり合った、軽やかも爽やかなニュアンスも奥に出て来た。タンニンは滑らかなタッチであるが、樽のニュアンスも完全には溶け込んでいない。

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中心にギュッと詰まったような果実のエキスと、しっかりした酸味が味わいのバランスを取る。最後にエスプレッソのような苦味が長く余韻を彩る。予想よりもまだまだ力強さの残った味わいであった。ついでに夜食に注文したのは「シーザーサラダ」に、トラディショナルなイタリアンミートソースの「ペンネ ボロネーゼ」。深夜ながらサービスも丁寧で、ワインと共に美味しく頂いた。
そうなると朝起きた時にはさすがにお腹は空かず、バトラーに勧めて頂いてた朝食も残念ながらスルーせざるを得なかった。またの機会に楽しむとしよう。
<ここからは私に戻って>正式に統合新組織になってからの初宿泊の「セントレジス」、総体的な主人の感想としては「丁寧になってかなり良くなった印象」と言う事。正直東京のラグジュアリーホテルと比べると、大阪のホテルは掃除や接客対応も今ひとつで、地方にありがちな地元密着(慣れ合い)な感じを受けていたが、

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今回は外国人旅行者も明らかに増えて鍛えられたと言うか、洗練されて一流のホテルらしさを感じたと言う事。同グループになったライバル「ザ・リッツカールトン大阪」との関係、新たに参戦してくる「コンラッド大阪」もしかり、うめきたには「インターコンチネンタル大阪」もあるわ。色んな刺激を受けて更なる成長を期待できそうね。
ここは日本で唯一アスター家伝来の、ニューヨークらしい艶やかで華やかな大人の世界があるはず。開業当初年末ホリデー時期に宿泊した際、クリスマスツリーなど美しく飾られていいて「古き良きアメリカ」を思わせる風情が気に入ったのが最初の宿泊。次はまたその時期に私も一緒に宿泊したいと思うわ。