すっかり真夏の南国福岡!暑いです!福岡中心部にある歓楽街の中洲と、繁華街の天神とを繋ぐ西中洲の「水上公園」が先日リニューアルしたよ。ここは「福博みなとであい船」の乗り場もあって観光名所でもあるわ。そしてこの度新しく建設されたのが「シップス・ガーデン(SHIP’S GARDEN)」。
所謂パリのセーヌ河沿いやニューヨークのイースト・リバー沿い、国内では隅田川沿いや京都鴨川の床などと言ったらイメージしやすいかな? 国土交通省や水管理・国土保全局などが推進する「ミズベリング・プロジェクト」一貫と言う話(写真は福岡市広報フェイスブックより)。ミズベリング・プロジェクトとは、市民・民間・行政が一体となり、川など水辺空間に新たな価値を創造していくプロジェクト。

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ここ水辺に面した水上公園に、休養施設やレストランを誘致して、公園と建物が一体となった川に浮かぶ船の様な空間になっているわ(延床面積630m2)。これはここの開発のみならず今後続いていく福岡市の再開発プロジェクト「天神ビックバン」構想の東玄関口にもなると言うから壮大。注目は西日本初出店となるオーストラリア発カジュアルダイニング「ビルズ 福岡(bills fukuoka)」、あ、うちのチェリ~ちゃんが前に「ビルズ 表参道」に行ったわね。
私の親の子供時代はここ中洲の川(那珂川)で泳いでいたらしいから驚く。今じゃお世辞にも綺麗とは言えないからね~。それでも夜はネオン街の中心を流れているだけあって夜景を映して賑やかな世界。キラキラ屋形船や水上バスが行き交うわ。と言う訳で某平日の夜、軽くデートをしようと西中洲に向かう。

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まさに川沿いに出来た新しいレストランで、博多らしい夜の中洲を眺めながら愛を語らうのだ♪ そこは大通りから入った西中洲4-4、割烹「しらに田」が入ったテナント(RIN FIRST)の2階と言った方が分かるかな? フレンチ「レストラン ローブランシュ(L’eau Blanche)」よ。
昨年春「オーグードゥジュール メルヴェイユ 博多」から独立した白水鉄平シェフが、東京・神楽坂からやって来た佐々木利雄オーナーソムリエと組んでオープンした店だ。エレベーターを降りて奥に進む、川沿いに広がったダイニングには、テーブル数席に加えライブ感あるカウンター席もある。バルコニーもあり川の上に浮いた船の中にいる様な感じでこじんまりと落ち着く。

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コンクリート打ちっぱなしに木のインテリアで、正に今の白水シェフらしいナチュラルな空間になっている。カウンター上のコンクリートは和紙て覆いつつ、窓際はあえてコンクリートむき出しにするなど個性的な風情も醸し出す。壁に掛けられた絵画は福岡の造形美術家・平松宇造氏の作品。
場所柄夕方から早めの中洲同伴組の他、女性同士や我が家の様な夫婦と色んな大人客がいる(ラストオーダー午前1時)。まずはシャンパンを開けよう。ワインリストを見るも、プレステージシャンパーニュが少なく悩む。妻がロゼを飲みたいと言うので、取りあえずリストの中にある「アンリ・ジロー ブリュット・ロゼ(Henri Giraud Brut Rose)」を選ぶ。

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クリアなボトルに濃い桜色が揺れる・・グラスを川に側に透かして妻は「綺麗なオレンジピンク~♪」と楽しそう。ピノ・ノワール70%、シャルドネ22%、アイ村産ピノ・ノワールの赤ワイン8%。ベリーやチェリーなどのふくよかな甘みと草・スパイス・・タンニンも感じるコクが食前酒にぴったりだ。
190cmの長身佐々木オーナーソムリエはイタリアン出身と言う事で、ワインはまだイタリアの物が多いが今後フランス物も含め、自分が美味しいと思うワインを少しずつ増やしていきたいとの事。福岡に縁もゆかりもない彼は、13年の付き合いである白水シェフの腕と人柄に惚れ込んで、夫人と移住して来たと言うのだから力の入れ具合も分かる。

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と言う訳で、白水シェフとそのロゼシャンパンでお祝いの乾杯をし、色々豊富などを伺ってからディナーを楽しむ事にする。料理はお任せコース(6800円)のみで、21時以降はアラカルトも。場所柄この価格はかなり抑えた提供と言える。まず運ばれたのは有田焼・幸楽窯(徳永)に盛られた「鯵 白桃 トマト」。
玄界灘のアジのマリネを主役に添えた前菜だ。トマトのガスパチョのソースにトマトのジュレを重ねていて、キラキラピンクに妻が「ロゼとピンクでぴったりね!」と嬉しそう。それに白桃の爽やかな甘みもシャンパーニュに合う。添えられた紫蘇のスプラウトも効いている。続いて「枝豆 リコッタ すだち」。枝豆のアイスのねっとりした食感と風味がポイントの一皿だ。

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口中で存在感を見せるうちに枝豆の姿が浮かび上がり、スダチのピールが微かに香る。吉田牧場「リコッタチーズ」にはカンボジアの「キュベベ・ブラックペパー」を振って清涼感あるアクセントに。ここで芳ばしいパンと、有田の素焼き皿の乗ったバターが運ばれる。次は「フォワグラ キング インゲン」、これも厚みのある石の様な円形皿で運ばれる。
フランス産フォワグラのテリーヌは、ゲヴュルツトラミネールでマリネして風味を加えた。上には紅茶・セロリ・アニスなどを使った自家製スパイスも掛けられている。添えられるのは糸島産の無農薬いんげんに、朝倉・藤井果樹園の青いイチヂク「キング」。そのジューシーな甘みにサワークリームの爽やかさが季節らしい美味しさ。

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以前から白水シェフの得意なフォワグラらしく、各素材がきちんと主張しつつも、最後にはフォワグラの味わいに収斂していき良かった。ここでワインリストの中から、赤ワインもボトルで選ぼう。サン・テステフ「シャトー・コス・デストゥルネル(Chateau Cos D’estournel) 2000年」メドック格付け2級をお願いする。
そう言えば先日恵比寿「ガストロノミー ジョエル・ロブション」で「コス・デストゥルネル ブラン 2012」を飲んだ。18世紀の地図にも見られる「砂利の斜面(caux)」と言う意味と、ルイ・ガスパール・デストゥルネル氏の名前から来たシャトー。彼が建てたインド・パゴタ風の大きな貯蔵庫はサン・テステフの名所でもある。

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2000年11月からフランスの食品会社の「ミシェル・レィビエ(Michel Reybier)」が所有。そしてこの「2000年」と言えばボルドーではかなり良いビンテージだ。カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロ33%、カベルネ・フラン2%。紫がかった濃い赤色。ねっとりとした強いタンニン、ブラックベリー・カシスなどと共にグリセリンも感じる濃い香り。
草・スパイス、ワインでマリネしたような葉巻のようなニュアンスも。妻的には「万願寺唐辛子に焼いたピーマン♪」と楽しそうだ。口中ではスムーズなタンニンだが、飲み干した後にヒリヒリした苦味として残る。それでも糖度が高いため心地良い印象。2杯目以降はデカンタージュしてもらうと、やがて開いてハーブ香も立ち上がり全体としてまろやかさも出て来た。

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余韻も長くエレガントな様子を見せる。若いながらもボルドー左岸らしい我が家好みの味わいに満足した。更に3・4年してこのタンニンがさらも溶け込んでくると、次のステージに発展しそうであった。気が付くと明るかった店内は、陽が落ちるのと入れ替わる様に、中洲のネオンが輝き始め包み込まれていく。眼下の川には派手な屋形船が横切っていく。
そんな中運ばれて来たのは「帆立 サマートリュフ トウモロコシ」。北海道産の大きな殻付きホタテに「お~!」と、他のテーブルでも皆声を出している(笑) 貝を開けると、トウモロコシと帆立の上に「ヒモのエキスの泡」が覆い、サマートリュフがたっぷりと削られている。ふくよかな甘みのゴールドラッシュのピューレやヘーゼルナッツがアクセントだ。

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帆立とトウモロコシの一体感を表現するため大きさにも気を使ったとの事。とは言え味的には帆立の存在感が少なくゴールドラッシュの印象が強かったかな・・。次は「鱸 シーアスパラ こぶみかん」。タイの野菜で龍のひげとも呼ばれるパクタムルンを、正に龍っぽく盛りつけたプレート。皮目をパリッと仕上たスズキは塩加減も的確。シーアスパラでも自然な塩毛が補われる。
「非常に状態の良い鱸をダイレクトに味わって欲しい」とソースはなく、アボガドをベースにコリアンダー・ミント・レモングラスなど多種のハーブを織り交ぜたディップが添えられる。実はこの中にほんの少しグリーンカレーを入れているのがポイントだ。南国福岡に合う夏らしい味わいになっていた。メインは熊本・阿蘇の草原で育った年間15頭のみの「あか牛(生産者:井信行)」で、

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カマチ陶舗の有田焼に盛られた「あか牛 スティックセニョール モカペッパー」。熊本地震で一時は隔離状態であったが、今はもう大丈夫と言う。サシが少ない「あか牛」のロース肉を69度で休ませつつ火を入れた。独立前はしばしステーキ専門店に入っていただけの事はある焼き具合。シンプルにジュのソースと共に美味しく頂けた。
最後デセールは「白桃のブラマンジェ」で爽やかに締めくくられた(小菓子はお土産にして頂いた)。振り返れば「メルヴェイユ博多」の頃よりも肩の力が抜けた白水シェフの料理。メニュー記載1行目が主素材となっているが、確かに主素材の印象が残るような組み立てである。オープン間もないという事で今はかなりリーズナブルだが、今後ニーズに合わせてより高額なコース設定も考えているとの事。

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白水シェフを支える佐々木オーナーソムリエと、「メルヴェイユ博多」オープン時から一緒に働いていた女性スーシェフ、若手サービスと既に皆の息がぴったり合っている。新店にしてはかなりの安定感だ。中洲の川沿いで深夜までやっている事もあり、デートや接待・飲み会と色々な使い方が可能だろう。