街にイルミネーションが灯り出し、大相撲の力士達の姿を見掛け始めるといよいよ冬の到来を思う。今年も始まった「大相撲十一月場所(九州場所)」、福岡国際センター周りの木々もすっかり色づき落ち葉状態。人混みが嫌いなので妻はあまり行たがらないが(笑)、予め「正面 桝席A(4人用)」を取り「中入」を目安に連れ出す。
2日目の入場者数が少なく、昨年の九州場所から続いていた「満員御礼」が80日で途絶え何とも心配したが、訪れたこの日は「満員御礼」。明日の千秋楽も当然大丈夫なはずなので、九州場所18年ぶりの「大入り」2桁は達成できそうだ。福岡は経済を牽引する大企業がなく、支店経済に頼っている。そのため、銀行・不動産・電力といった地場企業がまだ幅を利かせている。

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最近の地方創生の動きを受け、中央メディアが「福岡」を取り上げる機会も増えたが、地元民からすると「そうだっけ?」と思う事も多い(笑) 政令指定都市の中で人口増加率トップであるが、若者の人口比率が高く高齢者の比率も高い。我が家がいつも触れる「レストラン文化が根付かない」背景の1つでもある。九州場所は集客に苦労すると言われるが、そんなところも影響しているだろう。かつての魁皇のような地元力士が出てくると、また違うかもしれない。
入口から売店を過ぎたあたりに振分親方(元高見盛)がいたが、シャイでなかなかカメラを向いてくれず残念(笑) 化粧回しが豪華な土俵入りで盛り上がる中、バタバタと案内され席に着く・・案の定周りはかなりの鮨詰め状態。我が家的には「桝席(4人用)」を2人で使っても狭いのに、周りにはどうも2×2で他人と同桝内も??

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信じられない密着だと思うが皆アリなんだろうか?!九州場所特有の野次的大声も響く中、やはり私には難儀な環境での大相撲観戦となる。それにしても思った程「スー女(相撲好き女子)」を見掛けない。と、落ち着かない私を察した主人が売店からゲットしてきたのがコチラ。日本相撲協会公式マスコットキャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」のひよの山グッズ!
国技館でお馴染み「ひよの山」くんが九州場所にも来ているのよ~。これが今回の目的の1つでもあった。先発事務所前に毎日2回(1時・3時)にひよの山くんが登場するんだけど、既にこの日は終了。よって「ひよの山 ぬいぐるみ」を買ってきてくれたと言う訳♪ 可愛い~テンションアガルヨ。そして九州初登場の「ひよの山靴下」は、チェリ~のお土産分も忘れずに♪

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この日の会場はやたらと熱気ムンムンで暑かったので、「横綱手形扇(白鵬/日馬富士/鶴竜)」も追加購入とは気が利くね。私は相撲が良く解らないので、話題の関取をチェックして観る撮るみたいな感じ(笑) 後ろのオジサンが大声で解説してるし、声援が大きいと福岡出身の力士だと分かる。この日は遠藤・逸ノ城・三横綱が白星で面白かった。そうそう白鵬の懸賞幕で、漫画「喝風太郎」が目立ってた。
何かと妻は不満を言いながらも、相撲自体は楽しかったようで「またいつかね~♪」と機嫌よく会場を出る。そこで「相撲の後と言えばやはりフグを食べなきゃね」と言う訳で、小雨の降る中車を走らせる。向かったのは「柳橋連合市場」近く住吉橋のたもと、我が家お馴染み「博多 い津み」だ。毎年我が家の年越しにも「フグ刺し」を運んで貰っている。

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1923年創業の福岡を代表する老舗の河豚(ふく)料亭。黒を基調としコンクリート打ちっぱなしの建物が印象的だ。昨年、ミシュラン福岡では2ツ星を獲得した。ちなみにミシュラン東京で1ツ星の「博多 い津み 赤坂」は、十数年前まではここ「博多 い津み」が経営していたもの。今は店が入ったビルのオーナーが経営し仕入れも違うが、いまだ「博多」を強調した印象である。
フグと言えば山口県下関市だが、実はその南風泊市場で取り扱われる(外海物)天然フグの大半は、福岡県宗像市の鐘崎漁港のもの。玄界灘の荒波にもまれ、身はきめ細かく艶やかな河豚だ。さて、1階にはカウンター席とテーブル席。2階に上がると広い玄関ホールがあり、奥にはライトアップされた坪庭もある。他の部屋からの笑い声が漏れ、仲居さん達も足早にビールなどを沢山運んでいる。

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案内されたのはいつもの明るい広い個室「8番」、下階のライトアップされた中庭も見える。見下ろせば大きく無骨な唐津焼「雷」さんが目を引く。もちろん頂くのは「特選天然コース(先付、刺身、唐揚、ちり鍋、雑炊、香の物、デザート)」に、妻が大好物の「白子焼き」「ふくひれ酒」を追加するのが、我が家の基本だ。
先ずは乾杯といこう、ブラックに光るロゴが男性好みの「シャルル・エドシック ブラン・ド・ミレネール(Charles Heidsieck Blanc des Millenaires) 1995年」。1851年にシャルル=カミーユ・エドシックが設立したシャンパーニュ・メゾン「シャルル・エドシック」。英王室ほか各王室御用達でも知られている。この「ブラン・デ・ミレネール」は、「メニル」「クラマン」「アヴィーズ」などコート・デ・ブランのシャルドネで作られるブラン・ド・ブランだ。

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しかも良年1995年、古代ローマ時代からのクレイエール(白亜質土壌)で15年以上熟成。グラスに注ぐとゴールドが煌めく。柑橘系のコンフィ・バージンオリーブオイル・薄い蜜・ミカンの熟した香り・・と仄かな熟成感も心地よい。アタックの甘みと酸味が混じった滑らかなタッチ。余韻に広がる旨味が上品だ。2年前に飲んだ以来だがよりバランスが良くなっている。
ドサージュ多めであるが、フグの旨味や出汁の酸味とはかえってバランスを取って良かった。まずは「ふく皮 煮こごり」が運ばれて来た。いつもながら飴色で艶々に輝く。河豚エキスをたっぷりと感じる、ふくよかで濃厚な味わい。透明飴色の深い旨味が口元にまとわりつく。そして大本命の「特選ふく薄造り」の登場である。御主人が引いてみて、出来次第では「特選」としては出せない事も多いと言う。

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厚みある幅広の2枚引きの身が、牡丹花の様に綺麗に皿一面に盛られている。繊細な旨味が際立っており、淡泊でいて奥ゆかしい深みも兼ね備えている。自慢の「特性ポン酢」は博多らしく、大量の小葱ともみじおろしをつけて頂く(もしくは「塩とダイダイ」も)。甘さ適度な柑橘系の酸味と葱の風味が広がり、まふぐの淡泊でありながらふくよかな旨みを引き立てる。
添えられる「ふぐ皮」もプリプリとして美味なアクセント、妻はまたもや「天然コラーゲンに勝るものなし!」とパクパク嬉しそうだ。そしてお決まりの「ふくひれ酒」もお願いする。いつものお部屋係さんが目の前で、サッと火をつけてくれると、河豚の香ばしさがふわっと広がって良い香りだ。「これがないとダメでしょ~♪」と妻はご機嫌。い津みの日本酒リストは地元酒造を中心に揃えるこだわりを感じる。

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追加で久留米の山の壽酒造「山の壽 純米大吟醸 山田錦 BASARA」もお願いする。純米らしい吟醸香が柔らかく、バランス良く料理に合わせやすかった。そしてコースに追加した「白子焼き」。まだ少し早い時期だから小ぶり。レアな火入れでトロリととろけるような食感。そこに表面の軽く焦げた香りが混じり合う。最後に感じるのは火を入れて変質した白子の外側部分。
チーズのような風味が広がって余韻を形作る。そこへいつもの様に笑顔で女将さんが挨拶に来られた。穏やかで優しい語り口が好印象の女将。年末年始の「お節」や、最近の相撲関係の話など・・そうそう興味深かったのは、ミシュラン効果もあってか中国からのお客が増えて、色々と困った事も多くて大変だとか。やはりマナーやモラルの面はどうしようもないのかもしれない。

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さて次に運ばれたのは、サクッと薄い衣で艶やかに仕上げられた「ふく唐揚げ」。クドクなく上品な味付けが、ゼラチン質に富んだ河豚の身を活かしている。「唐揚げを食べた」と言う満足感を品良く印象づけてくれた。熱々の「ふくちり鍋」は丁寧に取り分けて提供される。上品に食せるのが我が家の好み。最初は「豆腐とフグ」、ふんわり食べ応えのある身を、ワイワイと楽しみながら頂く。
2杯目は色鮮やかなシャキシャキの「野菜とお餅」。最後は米から客毎に炊きあげられるツヤツヤの「雑炊」。出汁を吸って抜群の炊き具合、河豚の滋味にあふれていてスルスル頂ける。柔らかでいて微かな歯ごたえもある。最後のデザートは熟した「メロン」、これも妻の大好物だ。残しておいた「シャルル・エドシック ブラン・ド・ミレネール」と楽しんで締めた。

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とにもかくにも、人を惹きつけてやまない「ふく」を堪能した夜であった。年末に頂く「ふく(河豚)」は、また来年も良い年であって欲しいという縁起担ぎでもある。帰りは女将さん達と、相撲のキャラクター「ひよの山」くんの話をしながら賑やかに送って頂く。乗り込んだ車中で「これから寒くなると、更に『博多 い津み』は盛況になるよね(予約が取り辛くなる)」と、もう年末に向かっている事を実感しながら帰路に着いた。