この日訪れたのは地元福岡の「グッチ(GUCCI)」。イタリア・フィレンツェ「グッチ・レザーグッズファクトリー」からシューズアルチザン(靴職人)が来日。東京・大阪イベントのはずだったが、急きょ福岡に1日だけ来るとの事。そこで特別に主人の靴を、マンツーマンでスペシャルフルオーダーして頂ける事になった。
1921年グッチ創設以来の伝統のクラフトマンシップを誇るウェアとシューズのオーダーメイド「メイド・トゥ・メジャー(MTM)」。全世界の主要11店舗(日本は銀座と新宿)で展開され、各個人の寸法に沿ったパーソナルな仕立てが実現できる。今回のは更にスペシャルオーダー、「これはほんとに特別です」と恵比寿からやってきたクオリティコントロールマネージャー柴田隆荘氏が言う。

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以前「メイド・トゥ・オーダー(MTO)」で作った事もあるが、今回のはさすがにレベルが違うので楽しみ。夕方少し遅れて到着すると入口には、もう10年以上我が家の担当をしてくれている担当嬢が待っていた。その他スタッフ達とも挨拶を交わしながら奥に進むと、何ともまぁ素敵な長身やせ形イケメンのイタリア男性が!?
ネイビーの細身スーツに真っ白なシャツ、素足にはネイビー艶やかなクロコの「ホースビットローファー」。彼こそがフィレンツェからやって来たシューズアルチザン、テクニカルマネージャーのフランチェスコ・バルバッチ(Francesco Barbacci)氏だった。凛とした彼の横に付きっきりで、柴田QCマネージャーが完璧なイタリア語でしっかり漏れなく通訳してくれる。

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グッチと言えば「ホースビットローファー」だろうが、カジュアルな要素がなかなかない我が家には誰もそれを勧めない(笑) やっぱりエレガントなレースドでストレートチップでしょ?!な辺りからスタートする。プレシャススキンを含む多数の素材、美しいカラーサンプルの中からじっくり選んで行く。やっぱり「キアロスクーロ」の色つけが良いね。
個人の木型を作成するにあたり、採寸のほか裸足でクッションに足を沈めるなど細かい工程を貸切状態でみっちり2時間。世界トップの職人だけあって、こだわりやプライドを感じるとっても素晴らしい時間、かなり充実した内容に感動。何と主人は珍しくスプマンテを飲むのも忘れて夢中になっていたよ。

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木型は究極の個人情報となるので、フィレンツェ工房の指紋照合でしか入れない特別な部屋で保管されるとの事。なるほど・・今の時代危うい個人情報をいかにきちんと守れるか漏らさないかが、一流の証になるよね。「日本でこれだけ細かなフルオーダーシューズは今までないだろう」との事、出来上がりが楽しみ。フィレンツェに持ち帰られ作業に入り、仮縫いフィッティングは4ヶ月後バレンタイン時。
またセクシーアルチザン、フランチェスコ氏がわざわざ福岡まで来てくれるわ♪ と言う訳で、主人がスペシャルフルオーダーをこなしている間に、私は当然店内でお買い物しちゃう。だって今シーズンの「グッチ 2015-16年秋冬コレクション」は衝撃的だったよ?!急な交代劇で就任した新クリエイティブ・ディレクター アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のデビューコレクションは、

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色んな意味でミラノに新しい風を巻き起こした。衝撃のジェンダーレスブームは正に彼が火付け。加えてアンティークでロマンティックな儚い世界が新鮮。6月NYで行われた「2016年クルーズ」や先日の「2016年ミラノ春夏」も更にパワーアップして魅力的だったわ。そこでゲットしたのはもちろん看板商品。ブルームスプリント(ゼラニウム)が印象的なシルクのプリーツドレス。
ふわり透ける花柄フリルと美しいプリーツが華やかでロマンティック♪ 先日「2016SS」ショー後、フランソワ=アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長・CEO主催の晩餐会でジャンヌ・ダマス(Jeanne Damas)嬢が着ていたあのドレスよ。同シリーズ型違いをアナ・ウィンター(Anna Wintour)先生がMETアフターパーティで着てた。

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そしてやはりバッグ、今シーズンはベルトを含めて真鍮のGGバックルがポイント。よって素敵なアンティーク風の大きめをゲットした。そうだ春夏商品からはフラワーのスカーフもね♪ 今後世界全店舗で、内装もアレッサンドロ的にリニューアルされていくようなので楽しみ。グッチを後にして車で向かったのは、赤坂にオープンしたばかりの「鮨 木島」。
我が家お馴染み「すし割烹 やま中 本店」で、約20年勤めた木島英太朗氏が念願の独立を果たした。警固本通りの脇道に入ってすぐ、真新しい店舗には大きな胡蝶蘭がズラッと並んでいる。書家・西本宗璽氏による「木島」暖簾の向こうには明るい店内が垣間見える。店内も至る所に胡蝶蘭が溢れ、オープンしたばかりの熱気を伝える。

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スッと伸びた白木のカウンターは6.2m、8席ながら比較的ゆったりとした作りで居心地が良い。そして目に飛び込んでくるのがカウンター突き当たりの壁画。プラチナ色を基本にしてユニークな柄が描かれたタイルは、1枚1枚焼いたと言う有田焼だ。奥のテーブル席や複数の個室も大量の花束やお祝いの品で埋まっている状態(笑)こんなに多くの人から祝福されるのは、木島氏の人柄に由るところだろう。
まずはシャンパンで乾杯しよう。用意してくれていた数種のボトルの中から選んだのは「ジャクソン キュヴェ(Jacquesson Cuvee No) 738」。シャルドネ61%、ピノ・ノワール18%、ピノ・ムニエ21%。白い花・蜜・柔らかな香りがいつもながら上品。200年以上の歴史を持つ老舗シャンパーニュ・メゾン「ジャクソン」、先日現当主ジャン・エルヴェ・シケ(Jean-Herve Chiquet)氏が「やま中本店」を訪問した事から仕入れたと言う。

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妻のお気に入りシャンパンの1つなので機嫌が良い。そうそう9月に世界同時リリースされた「ジャクソン キュヴェ 734 デゴルジュマン・タルディフ(Jacquesson Cuvée 734 dégorgement tardif)」を、ちょうど少し前に飲んだばかりだったのでその違いも感じられて面白い。ちなみに4年程度の熟成の「キュヴェ 700シリーズ」に対して、「デゴルジュマン・タルディフ」は9年以上熟成したもの。
ベースは「2006年」でドサージュは3.5g/L。付け出しは温かい「嬉野温泉の豆腐」。佐賀・嬉野出身の木島氏曰く「恩返しに地元の豆腐を紹介していきたい」との事。そう言えば店舗建築も同郷の一ノ瀬勇氏が担当とか。さて「やま中」時と同じく、お勧めをお任せでガンガン出してもらおう。まずは「フグ刺し」、宮城のあん肝は別皿で登場する。

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柔らかくしっとり上品なあん肝が、河豚の淡白な味わいを何とも引き立てる。「鯛のハラミ」はネットリした甘みが広がる。皮目を炙った「アラ(クエ)」は少し爽やかにきめ細やかな脂だ。「カワハギ」は、生の肝を乗せて出て来た。どの器もずっしりと大きめの白磁、プラチナ色や金色をベースに個性的な絵柄だ。飾られた重箱や壺も同じニュアンス・・なるほど壁の有田焼と同じか?!
聞けば全て「アリタポーセリンラボ(ARITA PORCELAIN LAB)」のものと言う。1804年創業有田最大規模の窯元「弥左エ門窯」の、現七代目当主・松本哲氏が提案するモダン食器ブランドだ。NYのシェフ、デビッド・ブーレイ氏も使っているとの事。確かに外国人が好みそうな斬新さだ。そう言えば来年は有田焼創業400年記念。色々イベントも目白押しだろう。

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さて、この辺りで日本酒に移るとしよう。お酒も好きな木島氏らしく日本酒も色々と取り揃えている。まずは目移りする中、定番の「獺祭23(純米大吟醸 磨き二割三分)」をお願いする。相変わらずスッキリと上品で軽やかな飲み口だ。ここでパステルカラーの有田焼にて出されたのは特製「オイルサーディン」。口当たりを変えてくれ面白い。
続くはふっくら熱々の「白子の揚げ出し」。そしてダイナミックな「キンキの煮付け」は、目出度いゴールドの皿で登場。かなりこってり濃い味は日本酒に合う。そこでお勧めの日本酒、「大吟醸純米 松の司 黒 2013」を追加でお願いする。これは「松の司」の中では最高級ランクに位置する、黒ラベルに銀文字も力強い。心地よい吟醸香からすっきりした口当たりが広がるが、程よい濃縮感もあり料理を活かしてくれる。

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これはズッシリとした錫製の酒器でキリッと頂けた。更に海老も艶やかな「松茸の土瓶蒸し」も出された。身体を温めたところで、最後にサクッと握りを頂こう。細幅で艶々の黒漆台に、やや丸め俵型の握りが乗せられていく。まずは美しく包丁を入れた「ヤリイカ」は塩を降って。続いて「煮ハマグリ」。そして築地から仕入れたマグロの「赤身」は漬けで。
「中トロ」は程よい脂がシャリと合う。半年かけて準備をした独立にあたり、色々試したり食べ歩きしてはみたが、「やはり『やま中』のシャリが一番美味い」と言う結論に至り、こちらでも同じシャリという事だ。さらに「穴子」、ハラミが良かった「鯛」を追加して、「玉」で締めくくった。

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昼は2000円・3000円・5000円、夜は8000円・10000円からだが、「やま中」流につまみを色々追加で出してもらうと、満足度も高く酒も進むだろう(今宵の会計はシャンパン・日本酒含めてで5万円程)。握り中心と言うよりツマミも含めて、お酒と共に楽しめる店である。20年の修業経験からくる安定感は既に感じられるが、
「開店したばかりで大変です、まだまだこれから頑張ります」と木島氏。それでも合間には、お祝いに貰った「豪華な水引」や「縁起物の絵画」などを色々紹介してくれた。最後は「落ち着いた頃にまたゆっくり来るね」と見送ってくれる皆に手を振りつつ、門出の目出度さを楽しんで機嫌よく帰路についた。