7月1日から15日は「博多祇園山笠(櫛田神社祇園例大祭)」期間♪ 700年以上昔に施餓鬼棚に乗って祈祷水を撒き疫病除去したのを起源とする、博多を代表する大夏祭り。これと共に福岡は夏が始まるわ。福岡市内中心部では水法被に腹巻と締め込み姿の男衆を見掛け、いかにも男の祭り風情。15日明け方の「追い山」に向けて独特の雰囲気になる。
この日訪れた中洲川端、「博多リバレインモール by TAKASHIMAYA」前にも飾り山(天神・中洲・博多など14ヶ所に設置)。ここは隣接する「博多座」と連携して、毎年歌舞伎の演目をテーマにした「博多リバレイン流 飾り山笠」を展示している。今年の表(櫛田神社に向いた面)は「祝博多乃連獅子」、裏側の見送りは「祭博多之七福神」。博多人形師によって博多織などで彩られた大きな人形が豪華絢爛。

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近くに大黒流の詰所も見える、そう今年の一番山笠は「大黒流」よ!一番山を祝った標題になっているの。大黒流の由来は大黒天。大きな袋に打出小槌、頭巾をかぶったその目出度い姿の舁き山「降臨大黒天」を、たまたま博多リバレインとホテルオークラ福岡の間に発見!?「オッショイ」と掛け声も聞こえる・・そうだこの日は行事「他流舁き」、締め込み姿の男衆達が威勢よく走っていた♪
博多祇園山笠の神事も色々あるけど、9日の安全祈願「全流お汐井取り」が行われてから約一週間は、様々な行事で一気に盛り上がる。10日には舁山が動き出し、11日は「朝山」と「他流舁き」、12日はリハーサルの「追い山ならし」でいよいよ街に緊張感が出てくるわ。そして今日13日、ちょうど今から「集団山見せ」が始まる。TV中継も出るか。

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福岡市の要請で1962年から開始したそれは、商人の町「博多区」の祭である山笠が、福岡城下「中央区」にお披露目に来てくれる行事。明治通り・呉服町交差点から天神・福岡市役所までの約1.3km。この時は福岡県知事・福岡市市長・JR九州社長・銀行取締役など知名士28名が台上がりを務めるわ。明日14日はいよいよ「流舁き」で最後練習、そのまま15日早朝にクライマックスの「追い山」になる。
大太鼓の合図とともに一番山笠から順に「櫛田入り」。博多の総鎮守・櫛田神社の境内をぐるっと回り外に出て約5kmの「追い山笠コース」を走り廻り止め(ゴール)を目指す。その桟敷席は櫛田神社に並ぶしか入手することができないプレミアシート。12日「追い山ならし」が300枚(1人2枚まで)と、15日「追い山」の300枚(1人1枚のみ)、毎年15分で完売するわ。

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境内にある能舞台では、山笠終了後午前6時から、荒ぶる神様に捧げる鎮めの能が演じられる。この日中洲川端に訪れた理由は、博多座の7月公演ミュージカル「レ・ミゼラブル」を観るため。4月の帝国劇場を皮切りに福岡にも登場。歌舞伎を上演できる音響自慢の「博多座」、もちろん生オーケストラ!理想的な響きの生声を楽しめる。
さて、この日は博多座でミュージカル「レ・ミゼラブル」を観劇した後、妻とディナーへ。向かった先はその博多の総鎮守「櫛田神社」、さすがに山笠期間は多くの人でごった返す。神社真裏に位置する「日本のお料理 稲垣」へ向かう。「和食は京都で」がモットーな我が家であるが、こちらは博多で伺う数少ない和食店の1つ。さっぱり夏の和食を頂きたくなって訪れた。

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国体道路から暖簾をくぐり店に入ると、一変して静かな和空間。奥に進むと明るく、磨き上げられたカウンターがスッと伸びる。手前にはテーブル席の半個室、奥には座敷の個室もある。相変わらずキリッと背筋が伸びた御主人・稲垣正廣氏と、優しい奥様が笑顔で迎えてくれる。店内各所に飾られる楚々とした草花は、御主人が朝自ら山へ出かけて摘んで来ると言う。
思えば開業40数年のこのお店も、今となっては御子息がしっかり後を継いでいるので安心だろう。早い時間に伺った事もあり貸切状態で楽しめた。混んだ店の苦手な妻は「わ~いラッキー♪」とご機嫌。さぁ早速「文月の懐石料理」を頂くとしよう。最近はワインも良く出る様で、この日も昼間からハーフボトルがいくつも開けられたそう。白の村名ワイン(フルボトル)しかないとの事で、それをお願いする。

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立派な有田焼の深皿をワインクーラー代わりに、笹の葉を添えて「ルイ・ラトゥール マコン・ヴィラージュ シャムロワ(Louis Latour Macon Villages Chameroy) 2012年」が運ばれた。涼やかな風流な出で立ちだ。早速グラスに注ぐと薄い黄色・・フレッシュで甘めのレモンジュースやグレープフルーツジュースのような、爽やかながら落ち着いた酸味。
単体で飲むにはかなり薄い味わいとは言え、「ルイ・ラトゥール」は280年の歴史を誇りブルゴーニュを代表する大手ネゴシアン。稲垣のさっぱり系料理の邪魔をせず、楚々と寄り添ってくれるだろう。まずは一品目、漆塗りの四角皿で登場したのは涼やかな八寸。上から、「無花果」は優しい胡麻ソースで。味噌を伸ばして漬け込んだ「蛸」は一味をふって。歯触り爽やかな「ミョウガの寿司」。

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笹の葉の上の器は、もずくの中に沈んだ「帆立」。さっと醤油を塗って軽く火を入れたものだ。右は枝豆には艶やかな色の「海老」。さっぱり夏らしい風情を醸す料理が並ぶ。続く椀ものは「車海老と蓮根のしんじょう」。漆塗りに白髪ねぎも爽やかだ。外はさっくりと中はふんわりを熱々で頂く美味しさ。
旨味を生かすさっぱりした出汁が稲垣らしく、スルスルいける。続いては向付。妻が楽しみにしていた「牡丹鱧」の登場だ。この日は長崎の鱧。やはり夏は鱧を食べないと始まらない。昆布を引いた「梅の出汁」のねっとりした感じと、花開いたふっくらの鱧が相性良く満足。そして九州では外せない「アラ(クエ)」、妻の大好物だ。そして包丁をいれた「イカ」。こうなるとキリッと冷えた日本酒が飲みたくなる。

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メニューを見れば、高知「司牡丹 純米酒」や山形「出羽櫻 吟醸酒」、福岡「如水 吟醸酒」などもあったが、いつもの福井「黒龍 大吟醸」にする。切れのある酸味と旨味が料理を引き立てる。御主人が鹿児島出身と言う事もあってか、こちらは「伊佐美」「黒霧島」など焼酎の品揃えも多い。次はオクラが添えられたトロトロの「豚の大和煮」。
2時間程炊いた豚バラ肉は、適度に繊維を感じる柔らかさ。そこに京都の赤・白の味噌を合わせて、優しく仕上げたもの。最初から煮込むのでなく、この方が素材の味わいが分かるという御主人のこだわりの1品だ。ここで、季節お馴染み「鰻の冷やし茶漬け」が運ばれた。しっかりと冷やされた器の蓋を撮ると、山椒で炊いた鰻の香り・・しみじみと夏を実感させる美味しさだ。

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浮かんだ香ばしいあられと共にスルスルと流し込む。続いて「鮎の一夜干し」だ。器も内輪型で風情ある。内臓もつけて深みのある味わいが日本酒にはぴったり。よって更に石川「菊姫 山廃仕込み」を追加しよう。先程の「黒龍」よりも、まろやかな米を感じる味わい。じっくり日本酒と日本料理の良さを味う。次も冷やし系炭水化物「レモンそうめん」が出される。
しっとりとした素麺に、錦糸玉子と椎茸ときゅうり。出汁にレモンが絞ってあり、サラッと軽やかに頂ける。食べ終わると、器に涼という字が浮かび上がる。続いて「穴子ウニ衣揚げ」が出て来た。食べ応えある穴子、そして雲丹の香りとパプリカが「良く合う。面白く夏らしい美味しさだ。敷かれている「アサリときゅうりの出汁」、それに浮かんだジュンサイもつるつると、青感も余韻に涼しさを演出する。

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そう言えば「祇園祭」時のタブーにきゅうりがなかったか?ふと頭を過ったのを見越した御主人が、「今は胡瓜断ち期間なんですが、とっても美味しい季節。真ん中の神紋部分は抜けて料理してますから(笑)」と言う。なるほど、形が見えなければ良いだろうと言う解釈だ。お腹もいっぱいになって来たところへ、最後は「ジャコご飯」か「わかめ蕎麦」から選択できる。
もう米も素麺も食したので、「わかめ蕎麦」を頂くとしよう。鶉の卵を落として、大根おろしと合わせて頂く。「赤だし」「ソーダ梅」で締める。贅沢な食材がドンと出てくる訳ではなく、しみじみと落ち着いた味わいのほっとするメニュー。シンプルな仕立ての中にも一工夫が隠れている。ご家族で仲良くお店をまわしている・・安定した温かい味わいと言ったところだろうか。

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「好みの食材」を事前に頼むなどすると、満足感もより高まるかもしれない。今宵もわいわい楽しい時間を過ごして店を出た。外は雨も止み行き交う人の騒めきで賑やか、中洲の夜はこれからだ。さぁ私達は家に戻ってゆっくり食後酒でもあけようか・・そう話しながら車に乗り込んだ。