マンダリンオリエンタル東京(Mandarin Oriental Tokyo)の特別宿泊プラン「ノーマ・パッケージ」で、世界1のレストラン「ノーマ(noma)」のディナーを楽しんだ翌日。軽くランチを楽しもうと宿泊していた「マンダリンスイート(100m2)」に置いてある館内レストランの案内をめくる。
ここマンダリンオリエンタル東京は12のグルメがありレベルが高いので、ホテルから出なくとも色々楽しめるのも利点だ。向かったの最上38階ロビーフロア、今は迫力のディスプレイが目を奪う。北欧ブランド「スカーゲン(SKAGEN)」のインスタレーション「Where Horizons Meet」の展示が華やかだ。吹き抜けの階段を見下ろすと、「ノーマ東京」前にスタンバっているスタッフが見える。

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前夜会話したスタッフが気付いて手を振ってくれたりもする。さて向かうは同階「ケシキ(KSHIKI)」。昨年、アジアンインスパイアダイニングからイタリアンのオールデイダニングに変更された。そして変更に伴い、ケシキ内の一角に新たに設けられたのが「ピッツァバー オン サーティーエイス(THE PIZZA BAR ON38TH)」だ。
僅かカウンター8席・・と言えばホテル自慢の、オリエンタルラウンジ内「タパス モラキュラーバー(Tapas Molecular Bar)」を思い出す。「タパス モラキュラーバー」もカウンター8席、そう言えば「鮨 そら」もカウンター8席だ。やはり香港資本のマンダリンオリエンタルだけに、縁起担ぎの「8」なのだろう。

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「ケシキ」にはもともと窯があったので、もっと窯を活用したいとの事から、このピッツァバーが出来たらしい。なるほど上手い企画かもしれない。ラグジュアリーでありながらカジュアルフードが頂けるとあって、妻も「食べたい食べたい♪」と楽しみな様子。窓の向こうは日本橋から広がる東京らしい景色、そしてレストラン内は洗練されたエキゾチックな空間。
平日なので周りはエグゼクティブビジネスマンのランチ会議的テーブルが多く、落ち着いた大人の風情も良い。案内されたその「ピッツァバー ON 38TH」は、窯に向かってくの字のカウンター、背後はパンなどが置かれる配膳スペースなので開放感がある。この日は貸切状態で、ゆっくりとピザ作りも拝見できそうだ。まずは乾杯しよう。

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グラスでロンバルディア州の「フェルゲッティーナ・フランチャコルタ・ブリュット(Azienda Agricola Ferghettina Franciacorta Brut NV)」1700円を頂く。「ベラヴィスタ」醸造責任者だったロベルト・ガッティ氏が1991年に設立した「アジィエンダ・アグリコーラ・フェルゲッティーナ」の、全て自社葡萄で作られるフランチャコルタのRMだ。
シャルドネ95%、ピノ・ネロ5%。薄い黄色に細かい泡が立ち上がる・・グレープフルーツ様の柑橘の爽やかな味わい。一緒に戴くアミューズは「自家製ピクルス」。そんな最中いきなりにこやかにやって来たのは、ケシキ料理長のダニエレ・カーソン(Daniele Cason)氏。元気ですか~?と陽気なダニエレシェフはローマ生まれ。「料理とは愛である」がモットーだそうだ。

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ケシキで出されるイタリア伝統料理やピザは彼のオリジナルレシピ。特にピッツア生地にこだわり、ピエモンテ州「ムリーノ・マリーノ(MULINO MARINO)」社の石臼引き小麦粉を中心に、厳選したイタリア産オーガニック小麦を5種ブレンド。総重量80%の水を含ませ24時間×2回の熟成を行うという。私達のピッツァを作ってくれるのはピッツァイオーロ(ピッツァ職人)のイトウユウイチ氏。
「可愛いユニフォームが似合ってるね」と妻が褒めると、はにかみながらニッコリと穏やかな笑顔で、ゆっくり丁寧に粉から生地作りをしていく。その間に「ベビーリーフとアスパラガス 人参 ビーツのサラダ」1900円を頂こう。熟成バルサミコヴィネガーが効いている。まずお願いした一品目のピッツァは、6種類ある中からシェフお勧めの「トリュフの香るマスカルポーネチーズのトラピッツィーノ(TRAPIZZINO)」2500円。

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一番人気と言うから楽しみ。トラピッツィーノと言えばローマか。焼いた生地にまずはたっぷりマスカルポーネを塗って、黒オリーブとトリュフオイル、最後にザザッと万能ネギを掛けている。ドイツの老舗ブランド「アイヘンラウプ(Eichenlaub)」のウッドボード上に取り分けてくれる。ナイフやフォークもアイヘンラウプだ。
ふんわりトリュフの香りがカウンターに流れてくる、妻が目を輝かせて「この香りは食欲湧くよ♪」と楽しそう。マスカルポーネのまろやかさと万能ネギの香りが絶妙だ。と言う事で合わせたグラスの赤ワインは、カリフォルニア州の「ゼパルタス ワインズ ピノ・ノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー(Zepaltas Wines Pinot Noir Russian River Valley) 2012年」2400円。

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若手ピノ醸造家として名が挙がるライアン・ゼパルタス氏が、2004年に作ったワイナリー。ブルーベリーやブラックチェリー、ハーブの香り。程よいタンニンに品のいい酸味が気軽なランチにはピッタリ。黒いエレガントなラベルも印象的だ。ワインリストには他にもグラスで「アレグリーニ パラッツォ・デッラ・トーレ」や「マアジ カンポフィオリン」などもあった。
続いてお願いしたピッツァは、やはり基本に押さえておきたい「トマトと水牛のモッツァレラ(BUFALA)」2200円。一から作っていたオリジナルのピザ生地に、トマトソースと水牛のモッツァレラを乗せて窯へ。その様子を見ながらしばし焼き上がりを待つ。そこへ登場したのは何とマルコ・ペデレリ(Marco Pedrelli)氏!マンダリンオリエンタル東京全体の総料理長だ。

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2013年末に「マンダリンオリエンタル・シンガポール」から就任した。妻がびっくりして「スターシェフの登場ね!」と言うと、照れ笑いして、少しふっくらした自分のお腹を叩きながら「これで大丈夫?」とポーズを見せる、キュートなシェフ。そうこうしているとピッツァが焼き上がった。上にカットしたモッツァレラと生バジルを乗せて出来上がり。
アツアツでモチモチ、空気感のある柔らかな生地は珍しい食感。これがダニエレシェフならではのこだわりピッツァなんだろう。ここでお願いした更なるグラスの赤ワインはピエモンテ州の「ルチアーノ サンドローネ ドルチェット ダルバ(Luciano Sandrone) 2011年」。ドルチェット100%で、5つ畑・平均樹齢25年の葡萄をブレンドしている。赤い果実でシルキーなタンニン。ふくよかさの奥にスパイシーさもある。

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気が付けばスルスルと完食しているピッツア。油断すると何枚でも注文しそうになる軽やかさだ。思わず再びメニューを見る・・他にも「ニンニク風味 マジョラム エキストラバージンオリーブオイルとトマトソース」「チンクエ フォルマッジ トリュフハニー添え プロヴォローネ ゴルゴンゾーラ スカルモッツァ タレッジオ モッツァレラ」「ディアボラ トマト モッツァレラ ロケット トスカーナ産サラミ」
と食欲を刺激する釜焼きピッツァが並んでいる。妻はデザートピッツァ「ジャンドゥーヤチョコレートのピザ ワイルドストロベリー」にも興味津々であったが、さすがにお腹は一杯。名残惜しいが次回に持ち越すことにした。気軽にホテルを使って欲しいとのコンセプトで、カジュアルなイメージで作られた「ピッツァバー」だが、やはりマンダリンオリエンタル東京はクールでラグジュアリー。

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 「ケシキ」から見下ろす景色やインテリアはグレードが高い。そして何より我が家的には、イタリア人シェフがこだわった「ピッツア」を、ホテルらしい洗練された設備とサービスの中で頂けた事が良かった。宿泊客が気分転換に、そしてランチデートにサラッと使える楽しい「ピッツァバー」であった。